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大京 スマート・コンパクト≠フ第一弾

「ライオンズアイル(LIONS I'll)赤坂」


「ライオンズアイル(LIONS I'll)赤坂」完成予想図

 大京は1月27日、同社の新しいマンションブランドスマート・コンパクト≠フ「ライオンズアイル( LIONS I'll )」の第一弾「ライオンズアイル赤坂」のプロジェクト発表会を行った。

 物件は、東京メトロ千代田線赤坂駅から徒歩2分、港区赤坂5丁目に位置する14階建て全48戸の規模。専有面積は30.22〜57.75u、価格は未定だが戸数の8割を占める30u台が3,700〜3,800万円台、57u台が7,000万円台半ば(坪単価は400万円弱の予定)になる模様だ。竣工予定は2012年6月。設計・監理は共同エンジニアリング、施工は大末建設。

 スマート・コンパクト≠ニは、「都心をスマートに生きるために必要な 4 つのS( Satisfaction/Smooth/Simple/Security )を高めていく、『My Pace My Space』をコンセプトにした」マンションで、「 I'll 」とは「I will」の略。想定ターゲットはシングル(実需)。

 挨拶に立った同社首都圏第一支店長・世利幸仁氏は「この1年間、満を持して準備してきたプロジェクト。単身者にターゲットを絞り込んだ他社と異なる商品。昨年は首都圏で30u台のマンションが約1,800戸供給されているが、都内の人口構成の推移から見て今後も大きなマーケットになる。『赤坂』は、当社の第一号マンション『ライオンズマンション赤坂』が1968年に供給された地にふさわしい物件。今後、山手線内を中心に年間40〜50戸の規模を5〜10棟ぐらい供給していく」と語った。

 今回の「赤坂」は、赤坂通りに面しており、「赤坂サカス」へ徒歩2分、「東京ミッドタウン」へ徒歩9分の立地。外観デザイン監修は船田徹夫氏。通りに面するバルコニー全面に特別な熱反射ガラスを採用。六角形を積み重ねたようなファサードとなる。

 設備仕様では、同社の「Lions Living Labo」をスマート・コンパクト′けに再構築したものが搭載される。

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 同社の狙いは明快だ。今回の「赤坂」のような高単価エリアで専有面積を30u台に圧縮して、販売価格も3,000万円台に抑えて、単身者の需要を取り込もうという戦略だ。

 記者もその狙いはよく分かる。地価・マンション単価の上昇が顕著だった4年前、東急不動産が「クオリア神南フラッツ」90戸を坪単価456万円で分譲し、最後の億ションはやや完売まで時間がかかったが、よく売れた。また、東京建物は同じ年に「ブリリア武蔵小山 id 」38戸(分譲戸数は12戸)を坪単価430万円で分譲し瞬く間に完売したが、これらは例外だ。坪単価400万円もする高単価エリアで4,000万円を超えてくるとまず売れないのではないか。

 専有面積を絞って3,000万円台に抑える狙いが当たるかどうか分からない部分もあるが、単身者だけでなくセカンドハウス的に利用する富裕層も相当いるはずだ。

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 プロジェクト発表会で関係者の話を聞きながら、記者は「どうして今なのか」とも正直思った。コンパクトマンションの定義はともかく、単身者・ DINKS向けのマンションが供給されだしてから10数年が経過する。大手デベロッパーでは、東急不動産が「クオリア」を販売開始したのは平成15年だ。

 大京は、ファミリーとの混在型や、買い取り再販はあるが、大手デベロッパーの中でもっとも参入が遅い。もっと早くから展開してもよかったはずだ。

 そもそも、今でこそコンパクトマンション流行だが、同社は「コンパクト」の言葉すらなかった1986年(昭和61年)に単身女性専用の「ライオンズマンション白楽」27戸を分譲している。記者は、ちょうどその頃、「私もライオンズマンションに住みたい」と帰りの電車の中で話し合っていた女性同士の声をしっかり覚えている。

 同社がこれまで供給した約 6,700棟、約32万戸のうち専有面積が30〜40u台の「コンパクト」は数万戸に達するはずだ。「コンパクト」は同社が先駆者で、もっとも得意とする分野だった。

  「コンパクト」の圧倒的な供給実績がある同社が、これから「スマート・コンパクト」を含め小家族向けの需要をどこまで取り込めるのか注視したい。

  
モデルルーム

環境変化で再び増加するコンパクトマンション(2007/9/28)

(牧田 司 記者 2011年1月27日)