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環境変化で再び増えるコンパクトマンション

 

各社 ファンド卸と分譲の両面に作戦変更

 コンパクトマンションの供給が再び増えそうだ。これまでコンスタントに供給してきた東急不動産のほか、東京建物、三井不動産レジデンシャルなども久しぶりに新規供給した。コスモスイニシアの供給第一弾「イニシアイオ横濱関内」も完売間近だ。藤和不動産の「新宿山吹アインス」も残りわずかと好調だ。都内城南の戸建て分譲がメインのオープンハウスも市場参入する。

 コンパクトマンションが激増したのは5〜6年前だ。大手、中堅が入り乱れてこの市場に参入。 しかし、供給過多と粗製乱造≠フ反動で、売れ残りも激増。ここ1〜2年、物件は激減した。分譲リスクを避けるため、各社はこぞってファンド・リートに一括売りした結果だ。

 ここにきて再び供給が見られるようになってきたのは、地価の高騰・建築費の上昇で賃貸利回りが著しく低下し、ファンド・リートへの卸売りも難しくなってきたのがその背景にある。

 また、供給が激減したことで需給バランスがよくなり、利便性の高い物件は依然として高いニーズがあるのも、供給増の要因になっている。 今後は、ファンド卸と分譲をはかりにかけ、より事業採算の高いほうを選ぶ両面作戦に切り替えるデベロッパーが増えそうだ。

 以下、各社のコンパクトマンションの特徴、売れ行きなどを紹介する。売れる条件≠ェ揃った物件は、新価格でも人気になっていることが分かる。

東急不動産 坪単価456万円でも完売へ「神南」

 東急不動産が他社に先駆けてコンパクトマンション市場に参入したのが平成15年。この年、8棟を供給した。その後、16年は6棟、17年は5棟、18年は3棟をそれぞれ供給してきた。

 今年に入って「クオリア神南フラッツ」(102戸)を供給。坪単価が456万円という新価格だったが、渋谷区役所、NHK放送センター、代々木公園などに近接した渋谷駅圏では得難い立地と、逆梁ハイサッシ、二重床・二重天井、ノンレールサッシ、キッチンの面材は突き板仕様にするなどグレードの高さで人気を呼んだ。竣工は12月だが、残りは2戸のみだ。

 近く「クオリア三田」(48戸)を供給するほか、調布でも計画している。

東京建物 坪単価340万円でも圧倒的人気「武蔵小山」

 東京建物が今年2月、2年ぶりのコンパクトマンションBrillia-id<Vリーズの「Brillia武蔵小山id」を分譲して、圧倒的な人気を呼んだ。坪単価は340万円という新価格だったが、コンパクトマンションはかくあるべし≠ニいう究極の商品企画だったのが奏功した。

 東急目蒲線武蔵小山駅から徒歩5分の駅近であるうえ、専有面積を広めの約40〜77平方bに設定。デザインも有孔ブロックやアルミルーバー、パンチングメタルを採用してお洒落な外観を演出。基本性能、設備仕様もファミリーマンション並みにしていた。

 同社は、Brillia-id シリーズを供給する以前から準都心部などで単身女性の入居を想定したコンパクトマンションの供給を行っていた。こうした実績が実を結んだ格好となった。

三井不動産 1年ぶりに新規供給「四谷三丁目」

 1年ぶりにコンパクトマンションを供給するのが三井不動産レジデンシャル。「パークホームズ四谷三丁目アーバンレジデンス」で、東京メトロ四谷三丁目駅から徒歩2分の10階建て全74戸の規模。専有面積は約32〜42平方b、平均坪単価350万円というものだ。

 同社がコンパクトシリーズアーバンレジデンス≠フ供給を始めたのは平成16年の「パークホームズ目黒アーバンレジデンス」(60戸)で、その後、「乃木坂」50戸、「白金高輪」91戸、「三軒茶屋」40戸、「目黒リバーサウス」100戸などを供給してきた。その後、供給が途絶えており、「四谷三丁目」は三井不動産と三井不動産販売がそれぞれ分社・統合された昨年10月以降では初の物件だ。

 住戸プランは、単身女性だけでなくSOHOとしての利用や男性の入居も想定した機能的なものとなっているのが特徴。同社は今後、供給を増やすという。

リスト 同社初の坪単価320万円の「鵜の木」も販売好調

 リストがリストの初のコンパクトマンション「リステージ鵜の木ヴィルフレール」が好調な売れ行きを見せている。

 東急多摩川線鵜の木駅から徒歩4分、大田区鵜の木三丁目に位置する6階建て全77戸の規模で、専有面積は約23〜54平方b。平均坪単価は320万円。今春から分譲が始まっており、残っているのは比較的価格が低いワンルームタイプぐらいだ。

 単身女性向けのコンパクトマンションが売れる条件としていくつかあげられるが、このマンションはほとんどその条件を満たしている。建物は東西軸が長い敷地形状を利用し東南棟と西北棟の2棟構成とし、内廊下方式を採用。東南棟には2カ所に窓先空間(吹抜け)を設置して、通風・採光に配慮。オール電化も採用している。

 専有面積が広い40平方b以上のタイプは、7メートル以上のスパンを確保し、6畳大の個室とLDもファミリーマンションに近い広さを取っている。浴室、キッチンに窓・採光部を設ける一方で、ロフト付きやメゾネットタイプも設けているのが特徴だ。吊戸棚の下に人感センサー棚下灯を設置するなど細かな点にも気を配っている。

コスモスイニシアも市場参入 「関内」早期完売へ

 コスモスイニシアは今年6月、コンパクトマンションブランドイニシアイオ≠立ち上げた。その第一弾「イニシアイオ横濱関内」が分譲開始から3カ月で完売間近と迫った。JR京浜東北根岸線関内駅から徒歩4分、横浜市中区吉田町に位置する14階建て全50戸の規模。専有面積は約46〜58平方b。最多価格帯は2900万円台と3600万円台。地上権分譲で、坪単価は209万円だ。
  立地・価格・間取りなど、売れる条件をほとんど満たしているのが特徴だ。女性の視点で快適な住まいを提案する「LADY ' S EYE」をコンセプトに、キッチン、浴室、洗面所などの水周りもしっかり作りこみを行っている。
  モデルルームは、単身女性の入居を想定したもので、シューズクロークにはハイヒールやブーツ、洗面所には化粧品、洗濯機置き場にはハンガー、キッチンにはキッチン小物などが置かれている。選択したものをすぐハンガーにかけられるようにした工夫などは、いかにも女性の視点らしいものだ。

 

(牧田 司記者 9月28日)

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