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液状化を防ぐ手立てはあるか

 「全国地質調査業協会連合会」(全地連)土屋氏に聞く

 当欄4月5日付の「『地目』『地歴』『地質』の大切さ実感 液状化取材を終えて」で紹介した「地質」を専門とする業界団体「社団法人全国地質調査業協会連合会」(全地連)の技術顧問で応用理学の技術士・土屋彰義氏に「液状化」について聞いた。

 「今は震災地の調査が忙しく、首都圏の液状化は見ていないので何ともいえないのですが、埋立地や海抜ゼロメートル地帯、以前は沼地だったところで液状化が起きても全然不思議じゃありません。そのメカニズムはボーリングをしてきちんと調査しないとわからない。

 問題はその対策ですが、これが難しい。インフラは行政が修復するでしょうが、結局は、沈下した部分を埋め戻すしかないと思います。民有地はさらに難しい。傾いた建物はジャッキなどで水平にできるのでしょうが、液状化は再び起きる可能性があります。それを防ぐには地盤改良をするしかない。しかし、膨大なお金がかかりますし 、一般の方が行うのは容易でないと思います。また、1カ所やると、隣接の敷地に影響を及ぼしかねない。行政も、民有地の液状化防止対策はやれないでしょう。ただ、大手デベロッパーは造成段階できちんと地質調査を行っているはずです。液状化を起すのは恥でしょうから」

 巨大地震による液状化を防ぐのは難しいと語る土屋氏だが、ユーザーに対して次のようにアドバイスもした。

 「土地や住宅を購入するとき、その土地が以前どのような地質であったかを不動産業者に聞くとか、自分で調べることでしょうね。『地目』は、土地の利用形態を示しているだけで、あまり参考にはならない。以前はどのような土地だったかを知るには、国土地理院が発行している地形図とか土地条件図を利用するといい。各都道府県は独自に地質図や地盤図を作成しており、ハザードマップも作成している」

 しかし、ハザードマップには「液状化や建物被害予測をしている自治体は少なくないが、詳細に公表すると、住民から『どうしてうちのデータは隣と違うのか』などの質問が寄せられることから、詳しいハザードマップを公開していないところもある」と、限界もあることを土屋氏は指摘した。

 ◇      ◆      ◇

 国土地理院にも聞いた。国土地理院は、ホームページで25,000分の1の地形図や土地利用図を公開しており自由に閲覧できる。しかし、図示されているのは測量時点の「地目」であるため、地歴をたどることはできない。地歴をたどるには古い地形図を購入するか、「図歴(ずれき)」を調べる方法がある。「活断層図」も利用できる。古い地形図があるかどうかは国土地理院の閲覧窓口(電話029-864-1111 内線7253)で確認できる。白黒が500円から、カラーが2,500円から。「図歴」とは、文字通り地形図の作成の歴史をたどったもので、いつ測量され、地形図が作成されたか、いつ修正がされたかをたどることができる。自分が住んでいる土地がかつてはどのように利用されていたかをたどることができる。

 土屋氏が話した「土地条件図1/25,000」は次の地図センターのホームページに出ている。。http://net.jmc.or.jp/map_aerialphotograph_geology.html

「生(鮮魚)街道」が明暗を分けた我孫子市の液状化 「地目」「地歴」「地質」の大切さ実感(4/5)

(牧田 司 記者 2011年4月11日)