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「負け戦はやらない」アパ代表・元谷氏

「CONOE 〈三番町〉」起工式


「CONOE 〈三番町〉」現地

 

 アパは3月10日、同社グループの新ブランド「 CONOE (コノエ)」シリーズの第9弾「CONOE 〈三番町〉」の起工式に先立ち、グループ代表・元谷外志雄氏、APAホテル社長・元谷芙美子氏が同席して記者発表した。

 物件は、東京メトロ有楽町線・都営新宿線市ヶ谷駅から徒歩5分、千代田区三番町に位置する12階建て全40戸の規模。専有面積は30.00〜71.08u、価格は未定だが、3,700万円台から。竣工予定は平成24年7月末。施工は大末建設。

 現地は、敷地南東側にローマ法王庁大使館、東側に大妻女子大の図書館、道路を挟んだ北側には九段小学校が建つ。敷地の間口が狭く、日照条件には難があるが、全戸角住戸で、ホテル仕様の天然石などの素材が使用され、「ソフトクローズドア」や「一括オフ」スイッチなど同社独自の設備仕様であるのが特徴。坪単価は400万円ぐらいと見られる。

 記者会見に臨んだ元谷代表は、「4月に発表した中期 5カ年計画で、都心3区を中心としたホテル棟数でナンバー一、コンパクトマンション供給棟数でナンバー一を目指すと発表したが、現在、ホテル15カ所、マンション9カ所で事業が進行中。ホテルはすでに都心3区でトップ、都心5区でもナンバー一になった。マンションは用地取得が難しくなってきたが、5年後の供給トップを目指す。創業40年の記念の年に、日本の中心地の都心3区に特化して事業展開できるというかつてないビジネスチャンスが到来した」と語った。

 元谷社長は、「(ホテルの)会員が300万人を超え、七百数十社の協力会社さん、2,000人近くの社員からエールを頂きとても幸せ」などと語った。

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 元谷代表が15カ所の新しいホテルと言ったのは、「日本橋浜町駅前」「八丁堀駅前」「池袋駅北口」など平成24年8月までに開業するもので、トータルで2,423室に達する。

 また、9カ所のマンションは、「東日本橋」36戸「高輪」30戸「赤坂丹後町」20戸「一番町」27戸「三番町」40戸「水天宮」55戸「勝どき」39戸「本郷」39戸「岩本町」22戸だ。所在地だけなら間違いなく早期完売できる場所だ。

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 会見は30分ぐらいだったが、元谷代表は同社の今後の事業展開を探る意味でヒントとなることをいくつも語った。

 記者は、「コンパクトに特化するのは正解だが、都心3区のように坪単価が300万円、400万円となってくると大手でも難しく、売れ行きが心配」と質問した。これに対して元谷代表は、「第一弾の『東日本橋』36戸は完売した。この他の物件も完売のメドが立っている」と自信をのぞかせた。

 ただ、「リーマンショック後は路線価で買えたものが、最近の土地情報は200%、250%といったように高くなり、取得が難しくなってきた」とし、「私は、勝てる時、勝てる場所でしか勝負しない。負け戦はやらない。不動産は買うタイミング、売るタイミングが大事。大手は稟議などがあり、決断に時間がかかるが、私は即決で決断する。オーナー経営だからできることだ」とも語った。確かに、9カ所のマンションは「勝てる(売れる)」場所だ。

 つまり、都心3区でナンバー一を目指す一方で、環境が変化し、事業展開が難しくなったら方向転換もすることを匂わせた。

 同社は、耐震偽装問題を自力で乗り切り、田母神俊雄氏が防衛庁航空幕僚長を更迭される発端となった懸賞論文の主催者として「全国区」になったが、今度はホテルとマンションで首都・東京を席巻するのだろうか。


アパは40周年記念の「アパ社長カレー」を発売するそうで、元谷社長は3月24日に行われる「『アパ社長カレー』レセプション&無料食事会」の宣伝も忘れなかった。当日は元谷社長のものまねでブレイクしている「たんぽぽ」もゲストとして参加する予定だとか。

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(牧田 司 記者 2011年3月10日)