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アパの逆襲 業界初のソフトクローズ機能付きドア採用

「CONOE 〈東日本橋〉」


「 CONOE 〈東日本橋〉」完成予想図


 3年振りにマンション分譲を再開したアパの新ブランドプレミア≠フ「 CONOE 〈東日本橋〉」を見学した。

 物件は、都営地下鉄浅草線東日本橋駅から徒歩3分、又はJR 総武本線馬喰町駅から徒歩6分、中央区東日本橋一丁目に位置する13階建て全36戸の規模。専有面積は42.23m2〜53.84m2 、1期(8戸)の価格は2,970万円〜4,060万円、坪単価は253万円。企画監修はアパ都市計画、実施設計はIAO竹田設計、施工は新日本建設。竣工予定は平成23年7月下旬。

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 物件概要で分かる通り、物件そのものは小規模コンパクトマンションだ。単価的には割安感があるが、記者が驚いたのは、設備仕様だった。何とリビングドアがソフトクローズ機能付きだったことだ。ドアを開けて放置すると自然に閉まり、強く閉めようとしても締まる直前に止まり、静かに締まるというものだった。

 ソフトクローズ機能といえば、システムキッチンは常識化しており、最近は引き戸や収納扉などにも採用されているものが増えている。しかし、リビングドアにソフトクローズ機能がついているのを初めて見た。おそらく業界初だろう。蝶番にヒントがあるのか、対応していただいた同社執行役員 住宅戦略本部長代理 首都圏地区住宅統括部長 東京支店長・出倉輝祐氏に聞いたが、そうではなくドアストッパーに工夫が凝らされている。一般的なドアストッパーとは全く異なっていた。メーカーはスガツネ工業「LAMP」だそうだ。

 このリビングドアだけでなく、収納の扉も引き戸もソフトクローズ機能付きだった。さらに、驚いたのは、玄関と主寝室には、ホテルによくあるスイッチを押すだけで全ての照明をOFFにできる照明一括スイッチが付いていた。ダウンライトは全てLED照明。

 出倉氏によると、来場者はこれらの設備に一様に驚くという。すでに9月から販売を開始しており、15戸が契約済みだ。この業界初のソフトクローズ機能付きリビングドアなどの設備については、明日(28日)、BS11の午後8時からの番組「マイスイートルーム」で紹介されるそうだ。

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 もうひとつ、驚いたことがある。同社は今年4月、中期5カ年計画「SUMMIT 5」をスタートさせたが、その中で 2015年までにマンション事業の売上高を500億円に伸ばすとしており、都心3区(千代田区、港区、中央区)では供給トップを目指すとしている。

 記者は、半信半疑だった。「あのアパができるはずはない」と。ところが、出倉氏は自信たっぷりにこう答えた。

 「当社の強みは資金力。全国展開しているホテルの客室数は2万室。例えば稼働率を70%、1人の宿泊料金を1万円としたって、毎日相当の現金収入があります。当物件も含め仕入れの決済は全て現金。銀行にお伺いを立てる必要がありません。それとホテル事業で培った企画力が当社にはあります。すでに7棟の用地を確保しました」と。

 ちなみに同社の「SUMMIT 5」によると、2015年までにホテル客室を40,000室に増やし、ホテル部門の売上高を700億円、アパカード会員を800万人にするという。

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 アパのマンションについては、同社が東京に進出してからずっと取材してきた。タレントのトシちゃん≠起用した「アップルタワー」や「新宿戸山公園」「多摩境」などの温泉付きマンションも取材してきた。

 まさに破竹の勢いだった。ところが3年前、あの耐震偽装問題で日本中が大騒ぎしていたその時、同社の京都のホテルで耐震基準の 70 %程度の耐震性がないことが発覚した。アパグループのCEO・元谷外志雄氏とアパホテル社長・元谷芙美子さんが記者会見し、「予約したお客様をお泊めできなくなったことは申し訳ない」と芙美子さんが涙ながらにお詫びした。

 当時、同社は新シリーズ「アテリア」を展開しようとその第一弾「本千葉」のモデルルームを公開しており、記者も見学した。しかし、その後、このマンションは他社に卸売りされており、「アテリア」は日の目を見ることはなかった。「これでアパもおしまいだろう」と正直思った。

 あれから3年。アパの逆襲が始まったと、「東日本橋」を見学して思った。同社には、目指すなら「供給ナンバー1」とともに「質」の上でもトップクラスを目指してほしい。

  
ソフトクローズ機能付きリビングドア(左)と一括照明スイッチ

先日のアパの記事訂正とアパ元谷代表のコメント(2010/9/29)

(牧田 司 記者 2010年9月27日)