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期待できそう国交省の「建築法体系勉強会」

 

 国土交通省は1月11日、建築物の質の確保・向上に向け、建築基準法などの建築法体系全体の目指すべき基本的方向を整理することを目的とする「建築法体系勉強会」を設置すると発表した。第1回会合を非公開だが2月2日に開く。

 委員は、久保哲夫・東京大学工学系研究科建築学専攻教授(座長)のほか、浅見泰司・東京大学空間情報科学研究センター教授、井出多加子・成蹊大学経済学部教授、金井利之 東京大学大学院法学政治学研究科教授、神田順・東京大学大学院新領域創成科学研究科教授、櫻井敬子・学習院大学法学部教授、辻本誠・東京理科大学工学部第二部建築学科国際火災科学研究科教授、土居丈朗・慶應義塾大学経済学部教授、深尾精一・首都大学東京都市環境学部都市環境学科教授、古阪秀三・京都大学大学院工学研究科建築学専攻建築社会システム分野准教授の各氏(久保氏のほかはアイウエオ順)。

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 委員のメンバーを見て、これは期待できると思う。委員の何名かはこれまでのいろいろな会合でどのような考えをもっているか、少しは聞いているからだ。

 もっとも印象に残っているのは櫻井教授だ。櫻井教授は「民間賃貸住宅部会」や「建基法見直し検討会」などでかなりはっきりものを言われている。久保教授も同様だ。以下に「建基法見直し検討会」第 1 回会合で述べられたお二人の意見を再録する。

 櫻井敬子氏(学習院大学法学部教授) 建基法も都市計画法も息の詰まる法制度。姉歯事件後の法改正に私もかかわったが、異常な雰囲気の中での改正であった。違反件数はそれほど多くなかったが、姉歯以外にも問題があったことを私は怖いと思った。建基法の信頼が根本から崩れたからだ。今回の改正では、もう少し賢い選択をしようとこのような検討会となったが、国交省の法律は緻密すぎて窮屈。硬直化している。もっとおおらかにアイデア、仕組みを考えてもいいのではないか。

 久保哲夫氏(東京大学工学系大学院研究科建築学専攻教授) 分かりやすい制度、体系をつくるべきで、見やすいもので要点をチェックできるようにすべき。

 このほか、浅見教授は「民間賃貸住宅部会」の部会長を、深尾教授は「建基法見直し検討会」の座長をそれぞれ務められている。立場上、言いたいことが言えなかったのではないかと推測している。井出教授も「建基法見直し検討会」の委員を務められていた。

 「民間賃貸住宅部会」も「建基法見直し検討会」も結局は、各論併記の欲求不満の残る答申しか出されなかった。今回の勉強会は非公開なのが残念だが、徹底した論議を行っていただき、明快な方向性を打ち出していただきたい。

結局は各論併記 建基法見直し検討会がとりまとめ(2010/12/20)

結局は何もまとまらない? 民間賃貸住宅部会(2009/11/10)

(牧田 司 記者 2011年1月11日)