RBA HOME> RBAタイムズHOME >2010年 >

 「TOKYO DESIGNERS WEEK」に積水ハウスが出展


積水ハウス 「小さな生活展2」ブース


 本日(10月29日)から11月3日(水・祝)まで開催されている「TOKYO DESIGNERS WEEK」(主催・NPO法人デザインアソシエーション、会場・明治神宮外苑絵画館前)に積水ハウスが出展しているので見学した。ハウスメーカー・デベロッパーで出展しているのは同社だけだ。

 同社は、ACTUSとコラボし「小さな生活展2」を展示している。12m×6m=72uという限られたブースの中で実に様々な快適空間の提案を行っていた。その数は全部で9つもあった。

 すぐにでも商品化できそうなものがあった。1.3m×2m、高さ1400ミリの月見でひと風呂≠ニ名づけたリビングの一種がそうだ。月見窓の先に坪庭を設置し、酒を飲みながら沈思黙考するのにもいいし、夫婦であるいは子どもと愛や人生を語るスペースにも最適だろう。

 もう一つ、秘密基地のような子供部屋で遊ぶ2m×2m、高さ2400ミリの提案もいい。2層になっており、上層にL字型ベッドが置かれている。子どもが成長したらどうするかという問題もあるが、小さな子どもに5〜6畳大の居室など与える必要は全くない。この広さで十分だ。

 一畳書斎で想像の羽を伸ばす1.2m×1.8mのトイレもいい。トイレと3面書棚を合体させたもので、文字どおり薀蓄を傾けるのに最適な場所だ。ただ、ファミリーだとトイレの奪い合いになりかねない懸念もある。

 押入の中は最先端≠フ下段に3Dシアター、上段に立って作業ができる収納の提案は面白い。これを見て、安部公房の「箱男」の小説を思い出した。大人も子どももこのような空間を好むものだ。夫婦喧嘩、親子喧嘩したらこのような空間に逃げ込めばいい。

 全く提案意図が理解できなかったものもあった。出会いのパーティ開催中≠ニいう1.4〜2m×3mのパーティルームだ。狭いくぐり戸を入ると迷路のようなテーブルに顔を出すようになっていたが、隠微な秘密パーティなら分からないでもないが、誰がどのように利用するのか全くイメージが湧かなかった。だいたい、小さな子どもはテーブルまで顔が届かないだろう。記者はブロイラーか養豚ケージを連想してしまった。

 このようなやや理解に苦しむ提案もあったが、来場者にはおおむね好評のようで、大阪で行われた同様のイベントでは約11,000人の来場があり、同社のブースには4,000人が集ったという。アンケート回答者も80 〜90%に上ったそうだ。

 今回は約6万人の来場者を見込んでおり、同社のブースには12,000人が集ると関係者はみていた。

 記者が取材したことのあるサントリーの「パフカル」もブースに展示されていた。

   
左からサークル菜園キッチン、月見でひと風呂リビング、書棚付きトイレ

 

◇     ◆     ◇

 「TOKYO DESIGNERS WEEK」には、面白い展示もたくさんある。白と黒の江戸切子を提案した木本硝子もその一つだ。代表取締役の木本誠一氏は「江戸切子は絶滅種。いわば畳。これからはフローリング。この黒を出すのは難しいが、フローリングにはぴったりなはず」と語っていた。記者は、この白と黒の江戸切子にアクセントの赤でも入れたら爆発的にヒットするのではないかと思った。

 針の中心が中央ではなく、やや右よりに配置されている「リベンハム」の時計では、隈研吾氏が本物の木を文字盤に使用した時計をデザインしていた。隈氏はパンフレットで「育つ環境によって中心位置が異なる年輪のイメージがふっと頭に浮かんだ…時計針が示す刹那的な時間とは別のゆったりとした時間≠封じ込めてみようと思った」と語っている。

◇     ◆     ◇

 イベントには、国内外のデザイン・建築関係の大学の屋外展示もたくさんあった。全部見たわけではないが、多くの展示場所では製作途中の作品も少なくなかった。いたるところにゴミが散らかり、私物のカバンなども置かれていた。

 前日は雨天で、真冬のような寒さだった。そのために作業がはかどらなかったのだろう。その事情は分からないわけではないが、ゴミと一緒に作品を並べる神経が記者には理解できない。

 学園祭の乗りでやっているのかもしれないが、お客さまはお金を払って見に来ている。デザインは、そのものなり情報なりを受け手に気持ちよく受け取ってもらえるのが基本だろう。デザインを学ぶ前に、この基本をもう一度学ぶ必要があるのではないか。学生だからといって許されるものではない。

売上げ倍々増 サントリーミドリエ「パフカル」大ヒット(2010/6/7)

(牧田 司 記者 2010年10月29日)