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芦屋市大原町で地区計画 絶対高さ12メートルに

不協和音奏でる六麓荘 品格まるでなし


芦屋市役所


 三井不動産レジデンシャルが芦屋市大原町で計画している第一種中高層住宅専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)の5階建て(高さ15メートル)23戸のマンションについて、同市は景観法で定める「景観地区」にふさわしくないとして建設を認めないことを決定したが、同市の大原町では絶対高さを12メートルに制限する地区計画が予定されている。

 同市によると、今月中には要望書が提出される予定で、有識者による「芦屋市景観認定審査会」(会長:荏原明則関西学院大学教授)の審議や地元住民への説明会・素案の縦覧などを経て、早くとも半年後、遅くとも年内には施行する予定だ。

 三井不動産レジデンシャルが計画している案の絶対高さそのものが不認定の理由にはなっていないが、地区計画で具体的な数値が示されれば、同社は対応に苦慮することになりそうだ。市の都市計画担当者は「5階建てでも分棟、分節すれば認められる可能性があるが、地区計画に反するような案を三井さんは出してこないのではないか」と語った。

 これに対して、同社執行役員関西支店長・柏原達氏は「検討中。地元の関係者とよく話し合って決めたい」と語るにとどめた。


三井不動産レジデンシャルのマンション建設予定地

◇     ◆     ◇

 記者は、同社のマンション計画が不認定になったとき、現地を見たいものだと思っていた。今回、同社が摂津市で進めている大型マンションプロジェクトの内覧会が行われたので、ついでに同市を訪れ。市の関係者や現地、六麓荘を見学した。

 同社がマンションを計画している現地周辺は、ほとんどが2階建てか3階建ての戸建て・アパートばかりだった。ここに5階建てのマンションが建つことに住民が反対するのは分からないではない。しかし、第一種中高層住宅専用地域とは、そもそも「中高層住宅の良好な住環境を守るための地域」として定められたもので、用途の規制はあるが、高さ規制はない。

 5階建てであろうと10階建てであろうと、建つ可能性のあることを行政は法改正(平成4年)のときにしっかり告知すべきだったし、住民も自らが住む地域の用途地域がいかなるものかについて知っておくべきだった。市の都市計画担当者は「建物の高さに対する市民の反応はアレルギーのようなもの」と語ったように、双方が怠慢だったというべきか。

 絶対高さを12メートルに規制しようが、現在よりいい街になるとは思えない。地区計画を定めるなら、外構や緑化計画、デザインなどもきめ細かに定めるべきだろう。住民はみずからの手足を縛ることにもなることも覚悟すべきだろう。

 六麓荘は、噂には聞いていたが初めて見た。幻滅した。品格がなかった。確かに様々な石積みの豪邸≠ホかりだったが、それぞれが外に向って豪邸ぶりを見せびらかすような造りになっており、成金趣味そのものの建物もあった。街全体としては不協和音を奏でていた。醜悪ですらあった。

 京都や奈良でみた高級住宅街のほうがはるかによかったし、田園調布や成城などと比較するのは論外だ。高級住宅街は全て街路計画がしっかりしており、植栽も豊かだ。見た限りでは芦屋市の高級住宅街にはそれがない。

景観条例にはなぜ市民の権利は盛り込まれないのか(3/16)

芦屋市の三井不RDマンション不認可に異議あり(2/15)

(牧田 司 記者 2010年4月8日)