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 頑張れコスモスイニシア横浜

来年も同じメンバーの参加に期待


「へこたれてなるか」

 記者は9月2日の水曜ブロック決勝トーナメント初戦のコスモスイニシア横浜が積水ハウス千葉西に敗れた試合で、「声も掛けられないほど落ち込むコスモスナイン」という見出しの記事を書いた。

 早速、同社チームのある選手から反応があった。メールには次のように書かれていた。

 「実は、あれは単純に負けた悔しさだけではないんです。このメンバーで戦えるのはもう最後。負けたらこの素晴らしい仲間と野球ができないんです。そんな悲しさで、あの雰囲気になっていたんです。先日社内発表がありました。再建計画では会社規模の縮小が決まっており、社員の半分が早期退職となります。何としても決勝に行って、会社のみんなに応援に来てもらおう。会社を最後に盛り上げる。そんな意気込みで戦っておりました」

 記者も、コスモスイニシアが8月30日に発表した「『事業再生計画』策定に関するお知らせ」を読んでいた。お知らせでは、事業再生ADR手続きによる再生計画案を9月28日に開催予定の債権者会議で成立させたいとし、経営責任として町田公志社長などの辞任と、同社社員739人のうち360人程度の希望退職を募るとしていた。

 お知らせが発表される2日前、同社野球部はドームを目指すため野球部始まって以来の強化合宿を伊豆で張っていた。地元のチームと練習試合をやるほどの力の入れようだった。

 360人とは全社員のほぼ半数だ。当然だろうが、これには相当ショックを受けたようだ。

 記者は、大量の希望退職を募ることを知っておりながら、試合の取材では不覚にもそのことを忘れていた。戦力的に勝るコスモスイニシアが勝つものとばかり思っていた。

 結果は逆だった。7回裏、1死2、3塁のチャンスに、吉村のショートゴロで3塁走者村上が猛然とホームに突っ込み、相手捕手、積水のおかわりくんこと佐藤捕手のレガースに顔がぶち当たる音を聞いた。セーフともアウトとも取れたが、判定はコスモスには無情にもアウト。堂原遊撃手の送球が1秒でも遅れるか30センチでもホームベースからそれていたらセーフだったはずだ。

 7回のスリーアウトは全てショートゴロだった。堂原は完璧にこなした。その堂原は先日のちばリハウス戦の最終回、2死から4連続失策を犯したうちの1人となった。積水はこの回に5点差を追いつかれ、サドンデスでも4点を奪われ試合に負けた。

◇      ◆      ◇

 記者は10日夜、コスモスイニシア横浜ナインの残念会を取材した。以下、各選手のコメント。

○竹松監督兼野手 僕は本社のチームで投げていたときは、今の鴛海より速かったんです。みんな言ってますよ(横浜のチームを立ち上げたときは孤軍奮闘。エースで4番を務めたが、チームはほとんど出ると負け¥態。予選で2連敗したチーム同士の試合メイクミラクル戦でも勝つのが難しかった。それでもへこたれない不屈の精神は賞賛に値する)

○福田 僕と鴛海が打てなかったのが敗因合宿では大学時代のノートを参考に狭殺プレー、サドンデスの戦い方も指導しましたた。しかし、無死2、3塁でゴロの場合どうするかまでは想定していなかった(主砲の慶大野球部出身で新人監督まで務めた。旭化成ホームズ深海、島田、三井不動産レジデンシャル川崎はそのときの後輩・新人)

○村上 あれはセーフ。手が先にベースに触れていた。頭? もう怪我だらけですよ(竹松と一緒に闘ってきた数少ない同志)

○吉村 なんだか高校3年生が終わったような気分(コスモスイニシア北関東時代に東京ドームを経験している唯一の選手)

○鴛海 ホームラン? まさか打たれるとは思わなかった。甘かった。野球は社会人になったら止めようと思っていました。竹松さんの熱意にほだされたんです(福田選手と同期同窓。RBA屈指の左腕投手)

○大釜 昨年、リバブルさんに勝ったときは泣きました。その数年前、4〜5点差で勝っていた試合でひっくり返されたのを覚えていましたから…ナイスのマンションを買ったんですが、担当者は何と野球部のKさん。いまも一緒に住んでます。リバブルのIさんのお客さんとも契約しました(チームのマネージャー的存在。仲介担当)


アラフォー≠フ前列左から村上、竹松、後列左から戸田、大釜、吉村

     
鴛海                福田              渡辺主将

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 コスモスイニシア横浜は記者がもっとも好きなチームの一つだ(嫌いなチームはひとつもないが)。14年間かかって(優勝は無理かもしれないが)ベスト4に残れるよう竹松監督を中心に戦力を整えてきたいいチームだ。

 竹松監督が「本業でもみんな優秀」と胸を張るように、みんな優秀に違いない。チーム名の通り「ガッツ」があり礼儀正しい。「野球が優秀な選手は本業でも優秀な人材になれる」というのが記者の持論だ。

 来年もまた、同じメンバーが揃って大会に参加できることを願ってやまない。

 

(牧田 司記者 平成21年9月11日)