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環境不動産の政策の方向性を明示せよ

国交省 第2回環境不動産の価値を考える研究会

 国土交通省は2月18日、第2回「不動産における『環境』の価値を考える研究会」(座長:野城智也・東京大学生産技術研究所教授)を開いた。

 同研究会は、「環境」をテーマにして不動産の価値を高め、優良な不動産ストックの維持・創出を図るため、国内外の環境価値の高い不動産(環境不動産)を巡る状況や投資動向などの現状を把握し、環境不動産が多様な関係者に認識・評価される方策の検討、課題の整理を行うのが目的。 13 名の委員と6人のオブザーバーで構成される。

 今回は、アメリカ、イギリス、フランスなどの海外調査の報告と、環境不動産の普及に向けた施策の方向性について話し合われた。

  吉田二郎委員(東京大学大学院経済学研究所講師)「今後の政策の方向性を国内外に示すことが期待形成の上でもっとも重要」

  井上成委員(三菱地所都市計画事業室副室長)「東京都の環境確保条例の改正は、対象となる事業所も1300事業所だけで、総量規制を強化することでオーナーの支出が増加する。これが3年後、5年後、マーケットがどのように評価するか気になる。既存ビルをどうするかも重要」

  新地哲己委員(芝浦特機社長)「投資家向けの論議よりも、住む人が満足する環境不動産について論議しないと成功しない。当社は3カ月に一度、入居者アンケートを行い、全てのデータを収集している。いまは金融が不動産に対する融資を行わないので、太陽光発電マンションを事業化しようにもできない。 10 カ所ぐらいの計画が中断したままだ」

 伊藤雅人委員(住友信託銀行 不動産コンサルティング部 不動産鑑定室 鑑定・ CSR担当次長)「金融機関は国際基準の自己資本比率を抑えること腐心しているので、リスクが少ない住宅ローンに比重を移さざるを得ない。環境不動産といえども融資しづらい環境にあるが、プロジェクトによってはリスクウェートを見直す必要もある」

 小林誠委員(東京電力販売営業本部部長)「ビル入居者の意識が遅れているが、オール電化マンションの売れ行きは相対的によい。追加的なコスト増にイエスと言ってもらえるよう、具体的な光熱費の削減など見える化が必要」

  網野康彦委員(GEリアル・エステート取締役事業企画本部長) 「ホテルのように5つ星とか3つ星のように分かりやすい表示や、オーナーとテナントが一緒になってCO 2 削減しようというような制度的な支援が必要」

 高井啓明委員(竹中工務店設計本部設備担当部長)「キャスビーで既存建物の評価が簡易にできるよう改良している。計画と実績評価の両面からとらえることも必要」
 
国交省 環境不動産の価値見える化$iめる研究会(12/19)

(牧田 司 記者 2月18日)