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藤和不動産が都心でタワー型コンパクトマンション

「新宿山吹アインスタワー」24階部分からの北川の眺望(パンフレットより)

 

坪単価315万円 ユーザーの反応に注目

 都心部からコンパクトマンションが消えて1、2年経つ。いうまでもなく、地価・建築費の上昇で単身女性の購入上限と思われる10坪で3000万円のマンションの供給が難しくなったのがその理由の第一だ。

 もう一つの理由は、自らが分譲して販売リスクを負うよりも、不動産投資ファンドに一括で売却して利益を確定したほうが得策と判断しているデベロッパーが多いからだ。

 それでは、都心部のコンパクトマンションを購入できなくなった単身女性はどうなったか。購入意欲が衰えているはずはなく、その一部は準都心や郊外部のコンパクトマンションに流れていると思われる。また、コンパクトとファミリーの混合型を購入している層も多いはずだ。

 いずれにしろ、単身女性やDINKS層の旺盛な購入意欲を満足させるマンションがなくなっているのは間違いない。

 そんな折、藤和不動産がコンパクトマンション「新宿山吹アインスタワー」を近く分譲するので、早速見学した。

 東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩1分の24階建て全174戸の規模で、専有面積は約33〜55平方b。価格は未定だが、坪単価は315万円ぐらいというから、3000万台〜5500万円台になりそうだ。

 記者は、これまでたくさんコンパクトマンションを見学してきたが、24階建ての超高層タワー型というのは記憶にない。おそらく初めてではないだろうか。坪単価315万円という高単価のコンパクトマンションも、港区や渋谷区の一部の物件、投資用を除けば例がないのではないか。

 オール電化、デザイナーズ家具ショップ「 hhstyle.com 」とのコラボレーション、コンバーチブル収納などが特徴で、基本性能などもファミリーマンションと遜色ない。納得の商品企画だ。

 商品企画、フットワークのよさ、眺望のよさ、希少性などは間違いなく売れる要素だが、率直に言って、果たして売れるのかという疑問も湧く。

 われわれ業界人は、この立地条件で坪315万円はむしろ割安と考えるが、ユーザーがどう理解するか分からない。

 DINKS層なら価格的には問題はなさそうだが、やはり55平方bでは狭いと感じるのではないか。かといって、単身女性が買える価格とも思えない。狭いタイプでも単身者にとって購入できるぎりぎりの価格だろう。

 2、3年前、コンパクトマンションがブームになった頃は、高くても坪250万円ぐらいだった。この単価だと40平方bで3000万円ぐらいの価格になる。「40平方bで3000万円」という単身女性にとって理想の住まいが供給できていた。

 同社では、これから本格的に広告活動を開始し、12月から販売に入るという。売れ行きに注目したい。売れるとなれば追随するところがたくさん出てきそうで、コンパクトマンションブームに再び火をつける導火線的な役割を果たすことになりそうだ。

(牧田 司記者 11月29日)