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民力≠フ壁を打ち破れるか
ジョイント・コーポ「ジェイパーク新小岩」(9月29日)
 

 ジョイント・コーポレーションが先月から分譲開始した「ジェイパーク新小岩」を見学した。「常に商品性にこだわりを打ち出していく」という、RBA野球部の選手でもあり、同社営業推企画部部長を務める菊池信男氏(35)のお勧めのマンションだ。同社は、9月15日に行われたRBA野球大会予選トーナメント最終戦でミサワホーム東京神奈川に完封負けして決勝トーナメント進出の道を絶たれた。このマンション見学の話は、当日の残念会≠フ中で出たものだ。

 見学する前、「いくら好調とはいえ、民力の低い総武線沿線の物件だから大したことはないだろう」という予断を記者は下していた。同沿線では、東京建物ほか「 Brillia タワー東京」(644戸)を除き、記者が見学したマンションはどれも今一つのものばかりという印象を受けていたからだ。ある企画力が優れている大手のマンションですら、価格の安さだけが取り柄としか思えなかった。

 しかし、記者の予断は大間違いだった。確かに菊池氏の言葉に嘘はなかった。総武線沿線の物件としては商品性に優れたマンションと断言できる。

 何が優れているかといえば、その基本性能・プランのよさだ。東西に長い地形にもよるが、住戸プランは東向きの8メートル超のワイドスパンで、廊下スペースが少なくに間取りに無駄がない。このほかアウトフレーム、スラブ厚250〜270ミリの二重床、天井高最大2700ミリ、ノンレールサッシ、メーターモジュールの廊下などが特徴。駐車場も全戸分確保し、駐車料金も安く設定している。これだけで早期完売の条件は揃っている。

 モデルルームタイプのAタイプ(専有面積約83平方b)は、2台駐車可能のパーキングガーデン付きで、大型キッチンカウンター、床上げ・吊り押入れの和室、卵型浴槽などの提案が優れている。立地条件もまずまずだ。新小岩駅から徒歩9分の準工地域立地だが、道路から一歩入った住宅やマンションなどの混在地域で嫌悪施設はない。

 気掛かりなのは単価の高さ。坪単価は172万円だ。総武線沿線の単価としては、「 Brillia タワー東京」の249万円は破格として、相場としては妥当なものかもしれない。しかし、この沿線を歩いてみると、その街並み、商店街の店構え・雰囲気は、城西、城南などの地域のそれとはまるで異なる。都心への交通の利便性は認めるが、記者は売れる価格は坪 150万円、上限は160万円とみる。つまり、72平方メートルでグロス3500万円というのがこの地域の民力≠フ限界ではないだろうか。他沿線の人気物件の単価を見ても、常磐線の南千住、北千住あたりで坪150〜160万円ぐらいだ。

 同社のマンションの来場者数は約1カ月で210組という。来場者自身も「もっとも賑わっているマンション」という評価を下しているようだ。同沿線には17件ものマンションがひしめき合って激戦を展開しており、早期完売したマンションは皆無だという。同社が、民力の壁を打ち破り早期完売できるかどうかは、商品力をどこまでユーザーにアピールできるかにかかっている。

 野球大会の予選敗退の憂さをこの物件で晴らして欲しいものだ。

(牧田 司記者 9月29日)