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「プリスタ」で見た需要喚起策

 

「プリスタ」外観

 

微に入り細にわたる現地モデルでの生活提案

 千葉ニュータウン・白井駅前で分譲されているマンション「プリスタ」を見学した。バブル崩壊による千葉ニュータウン開発の頓挫、千葉県企業庁の経営難、都市機構の独立法人化、地域経済の低迷、団地入居者の高齢化など様々な問題を抱えている中、久々にマンションが好調な売れ行きを示し、活況を呈していると聞いたからだ。

 「プリスタ」は白井市笹塚二丁目、北総・公団線白井駅から徒歩2分の15階建て全544戸の規模。専有面積は約81〜115平方b、坪単価は113万円。売主は双日など7社JVで、施工は長谷工コーポレーション、販売は双日リアルネット(代理)と長谷工アーベスト(媒介)だ。

 昨年末から販売されており、来場者は2000組を突破、240戸を契約している。来場者は地元千葉県だけでなく都内などからもあり、広域集客ができているという。

 人気の要因は、駅近のアクセスのよさもあるが、このマンションに住めばこのような生活ができる≠ニいう商品企画だ。

 モデルルームに当てられているのは100平方bを超えるタイプで、奥行き3.2メートルのアウトドアダイニング、約5.1畳大のキッチン、約24畳大のリビング、約12.7畳大の主寝室、約20畳大のガーデンポーチなど、郊外マンションならではの提案がなされている。

 これが3000万円台の前半で購入できるのだ。郊外立地の難点を克服するには、このような思い切った商品企画が求められる。難点を補って余りある具体的な生活提案がこのマンションではなされている。

 もう一つの大きな特徴は、販売事務所の設営がとてもよくできていることだ。おそらく長谷工アーベストが主導して行ったものと思われるが、それこそ微に入り細わたり、様々なことが分かりやすくビジュアルに説明されている。例えば、このマンションでは世界初のミスト洗浄方式の食洗機が標準装備されているが、これを採用した場合、年間どれぐらいの電気料金が節約できるかが明示されている。

 このようなことは、どこのマンションでもやっていることだが、このマンションではここまでやるか≠ニ思うぐらい、徹底してお金に換算して様々な設備を紹介している。これこそが主婦の視点だ。

 パンフレットに盛り込む生活ガイド誌もよくできている。A4版の全71ページにわたるもので、時刻表からショッピングガイド、グルメ、レジャー施設、学校、学習塾、病院などの紹介まで市民生活に必要なあらゆることが盛り込まれている。

 生活ガイド誌は、他のマンションでも同封されているが、これほど内容が豊富なのはほかにない。ケーキがおいしいとか、保育園の保育目標、病院の診療方針なども掲載されている。

 このような提案型の販売事務所設営は、いまに始まったことではなく、もう10年も20年も長谷工アーベストは行っていることだが、どんどん進化しているようだ。首都圏の5戸に1戸の割合でマンションの施工を行っている長谷工コーポレーションの子会社だからできることかもしれないが、需要を創造するためには必要不可欠なことだ。

 千葉ニュータウンのマンションでは、5年前に近鉄不動産が千葉ニュータウン中央で大規模マンションを分譲して人気になったのを覚えているが、それ以来の人気物件ではないだろうか。多摩ニュータウンや港北ニュータウンでは、民間マンションがたくさん供給され、売れ行きもまずまずなだけに、千葉ニュータウンのみが取り残されていると感じていた記者にとっても嬉しいことだ。マンションがどんどん建って、新しい人が住むことが街を活性化させる。都市機構や行政の支援に期待したい。

 

(牧田 司記者 4月21日)