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ヒットの予感 東急不動産の「ブランズ」新シリーズ

ブランズ中野上ノ原モデルルーム(パンフレットより)

「ブランズ中野上ノ原」モデルルーム(パンフレットより)

 

「ブランズ中野上ノ原」と「ブランズ調布」を見学して

 東急不動産の新しい住まいブランド「BRANZ」を冠した「ブランズ中野上ノ原」と「ブランズ調布」を見学した。「BRANZ」とは、「健やかな環境と、ひとつ上の快適性にこだわって暮らす住まい」がテーマのマンションで、従来の「アルス」「クオリア」「シーサイドコート」「プレステージ」シリーズとどのように異なるのかを確認するための見学だった。

 前者は、JR東中野駅から徒歩6分の第一種低層住居専用地域に位置する3階建て全30戸の規模。専有面積は約55〜85平方b、最多価格帯は5000万円台、坪単価305万円。

 後者は、京王線調布駅から徒歩3分の4階建て全25戸。専有面積は約34〜73平方b、最多価格帯は4800万円台、坪単価239万円。

 まず「中野」について。モデルルームを拝見した瞬間、「これはいい」と感じた。企画意図が明確だから、訴求ターゲットも一見して分かった。

 コンセプトテーマが「ひとつ上の快適性」とあるように、訴求ターゲットは明らかにDINKSや熟年夫婦の「アッパーミドル」ということができる。デザイン、設備仕様の高さがそのことを物語っている。

 同社は、環境に恵まれた地域であることから、最初は高級マンションシリーズの「プレステージ」を検討したというほどで、グレードはほとんどプレステージと遜色ない。床はウォールナット、カリン、クルミ材などで、建具・面材も突き板で、廊下は大理石。ジーマティック、グローエ社などのキッチン、水栓などが用いられている。

 モデルルームは和風のDEN、格子の窓、障子などを設けたもので、オプション仕様総額は約1400万円というが、オプション仕様でなくてもレベルの高さが分かる。水回り部分の移動も可能だ。

 「調布」は、完成販売というのが特徴の一つだ。コストをかけて事前の販売事務所やモデルルームを設けなくとも、立地、環境からして早期完売できるという読みがあったからだと記者は判断した。結果はその通りだ。1月末から販売しているが、現在、残っているのは数戸だから、完売は近そうだ。

 設備仕様は、「中野」と比べると高くはないが、やはりDINKSや熟年夫婦の入居を想定したプランがいい。例えば、モデルルームにしている専有面積約 69 平方bの3LDKプランがあるが、リビング・ダイニングは約10.5畳大で、約6.4畳大の主寝室のほか居室は5.1畳大と5.3畳大の洋室が二つだ。ファミリー向けだったら絶対に売れないプランだが、DINKSや熟年夫婦なら十分ではないにしろ、我慢できる広さだし、全居室に窓があるのもいい。

 この2物件を見た限りでは、新シリーズがヒットするのは間違いない。最近流行りのいわゆるコンパクトマンションは、いかにも単身女性向けというものばかりで、そういった層とは一緒に住みたくないというアッパーミドル層も多いはずだからだ。他社に先駆けて供給した同社の「クオリア」シリーズによるマーケット開拓は、瞬く間に各社が参入することになったが、同じような現象が起きるかもしれない。

 同社は、この「ブランズ」を「アルス」に替わる基幹ブランドにするという。

 

(牧田 司記者 3月14日)