マツヤハウジング 業界初の花粉症対策マンション分譲

「リシェ多摩川リバーサイド」(完成予想図)

エントランスに設けた装置で花粉などを風で吹き飛ばす  

 マツヤハウジング(久保棟男社長)が創業 30周年記念プロジェクトとして、エントランスで外部の粉塵や花粉をシャットアウトするという業界初の花粉対策“ダスト・リジェクト・エントランス”(特許出願中)を施したマンション「リシェ多摩川リバーサイド」の分譲を開始した。記者もさっそく見学にうかがった。

 現地は、大田区鵜の木3丁目、東急多摩川線鵜の木駅から徒歩8分。5階建て全 25 戸の規模で、専有面積は約 40〜56平方b、価格は3000万円台〜4000万円台。坪単価は 230万〜240万円。

  最大の特徴は、エントランスホール内に設けられた“ダスト・リジェクト・エントランス”だ。これは約70×80センチのステンレス製ボックス(写真参照)で、壁に手をかざすと四方八方、合計12カ所のノズルから風速 23〜 25m/秒の高速ジェットエアが噴出してくるというもの。

 

 この風で衣服に付着した粉塵や花粉を吹き飛ばすという仕組みだ。効果を高めるため入るのは1人だけで、20秒間、90度角度を変えることも進めている。これで約 90 %の花粉などを除去できるという。

  このほか、エントランスホール内に「業務用除菌イオン空気清浄機」(シャープ製)と、有害化学物質を吸着し調湿・脱臭機能に優れた健康建材「エコカラット」(イナックス製)を採用。さらに各住戸の給気口に外気浄化フィルター、浴室には除菌フィルターを装備。オプションとして、屋内で洗濯物を干せるようにもする。外壁には環境に配慮した特殊なタイルを貼る。

 記者は花粉症の経験がないのでどの程度苦しいものか分からないが、症状に悩む人にとってはこんな朗報はないだろう。コスト的にも装置代などで約70万円、住戸内のフィルター装置で約20万円かかっているが、エコカラットの採用などで相殺されるという。

 このマンションを発案したのは、同社営業企画部課長・山田邦博氏(33)で、自分自身が昨年4月発症し、久保社長も重度の花粉症に悩んでいることから商品化に踏み切ったという。

 ただ、花粉症に関係ない人は、まずこの装置には入らないだろうと思う。髪は乱れるし、音も相当する。 20 秒間という時間も長い。となると、購入者が限られてくるデメリットもありそうだ。新聞配達はどうなるのかは聞き忘れた。

 どんな販売結果をもたらすか、気になるところだ。

 

久保社長

伊田グループ入り 18年3月期に上場目指す

 同社は、これまで城南地区を中心にマンション事業を展開してきたが、昨年、ジャスダックに上場している伊田テクノスのグループ会社入りし資本力を増強。不動産流動化、仲介、リフォーム事業など多角化を進めている。17年3月期の売上高は 97億円、経常利益は7億円。18年3月期は売上高 170億円、経常利益10億円の計画。18年3月期には上場申請する予定だ。

 

 久保社長は、「当面は不動産流動化事業が大きく伸びる。すでに37億円分の賃貸マンションを外資系ファンドに卸しており、自社ファンドも立ち上げる。将来的には 300〜 500億円の規模に持っていきたい」と語っている。
(牧田 司記者 12月7日)