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ダイア建設
「ダイアパレス津田沼ハウゼ」を見学して(10月15日)
 

 ダイア建設が最近分譲開始した「ダイアパレス津田沼ハウゼ」を見学した。JR津田沼駅から徒歩4分、9階建て全25 戸で、専有面積は約53〜60平方メートル、価格は2760万〜3500万円(平均価格3139万円)、坪単価183万円というものだ。

 見学の目的は2つ。1つは、同社が産業再生機構の支援、スポンサーとしてのレオパレス21の支援を受けてから1年以上が経過し、販売現場はどのように変ったのか興味があったこと。もう一つは、昨年4月ごろ、前社長・下津一三氏にインタビューした際、同氏は「今後は単身女性向けなど、テーマを明確にしたマンションを供給していく」と語ったのを覚えており、この「津田沼」がまさに単身女性をターゲットにしたコンパクトマンションで、他社の物件とどう違うのか興味があったからだ。

 前者については、正直よく分からなかった。現場対応は他社とほとんど同じように感じた。とはいえ、記者はマンションの現場対応は顧客第一主義≠フ観点からして問題は多いと見ているので、同社の現場対応にも満足していない。

 後者については、積極的な姿勢が買える半面、市場性を十分考慮していないのではという疑問が残った。「積極的な姿勢」とは、プラン化に当たり社外の女性スタッフの意見を取り入れている点だ。キッチンを全て独立型にし(賛否両論あるだろうが、記者は賛成)、引き戸を多用、白を基調にしたデザインにしている点などに、女性の視点が感じられた。リビングや居室の天井高を2700ミリ取っていることにも感心した(階高3000ミリ、スラブ厚は200ミリの二重床という現地説明)。東西に長い敷地形状にもよるが、全プランが7メートル以上のワイドスパンになっているのも好感が持てた。

 問題はやはり市場性だ。記者は、確実に売れるものにするなら坪単価160〜170万円、中心は2500万円台、価格上限は3000万円≠ニ踏んでいた。しかし、単価、グロスとも記者の考えとより大幅に高かった。マンションは売れてこそ価値がある。広いのは結構だが、想定する単身女性の購買力を考えると、苦戦は必至のように思えた。

 単身女性がマンションを買うのは、老後に備えて自らの住まいだけは確保しておこうという考えがある。結婚願望がないわけではない。自分につりあう男性がいないから独身でいるのだ。結婚して夫と別の住まいになったとき、手持ちのマンションは売却するより、賃貸にして安定的な収入を得ようと考えている人も多いはずだ。そうなったとき、手持ちのマンションが賃借人のつきやすい(賃料が安くて利回りもいい)ものを選ぶはずだ。女性とはそこまで考えてマンションを買う。デベロッパーは、そんな女性の深謀遠慮を読み取らないとダメだ。

 社外女性スタッフを起用するときも同じだ。女性は、男性もそうかもしれないが、人前では見栄を張る。本音と建前を使い分ける。女性の言い分を聞いてばかりいたら、とてつもなく高いものにつく。どうして女性の本音を聞き出すか、デベロッパーはもっと女性について研究すべきだ。

(牧田 司記者 10月15日)