RBAタイムズHOME > 2004年6月〜9月 > ニュース |
「交詢ビル」にみる、三井不動産の懐の深さ(9月30日) |
今年3月オープンした日本橋東急百貨店跡再開発の商業施設「コレド日本橋」、三井本館に隣接しマンダリンオリエンタルホテルが入る複合商業ビル「日本橋三井タワー」、そして大丸を核にした東京駅八重洲口開発など、日本橋再生に全力を注いでいる三井不動産。その三井不動産が、日本橋の隣町、銀座 6 丁目に「交詢ビル DINNERS & STORES 」をオープンした。財団法人交詢社のビル建て替えに伴い、地下1階から5階までを取得し、商業施設としたもの。 「コレド日本橋」あるいは三菱地所による「丸ビル」といった巨大商業施設のオープンで、東京駅周辺は活気を取り戻している。しかし、それらの施設は終日老若男女でごった返しており、落ち着いた雰囲気とは言い難かった。「もっと落ち着いた雰囲気を楽しみたい」という声は少なくなかったはずだ。 今回の「交詢ビル」はターゲットを30代歳後半〜50歳台のアッパーミドルに絞り込んでいるのが特徴。世界を代表するスペシャリティストア「バーニーズニューヨーク」(バーニーズはヤングエクゼクティブに人気が高いが、この銀座店はアッパーミドル向けの品揃えを充実させているという)をはじめ、美容室・宝飾・インテリア・和装の老舗がテナントとして入り、さらに全国から和・洋・中華の老舗を集めている。ここで売られている品々を手にするには、あるいは食事を楽しむには、普通のサラリーマンには少々覚悟が必要だ。各フロアのしつらえも、牧田記者が書くように贅が尽くされ、かつ落ち着いた雰囲気を醸し出している。まさに「大人の隠れ家」という表現がぴったりくる。 大規模再開発を進める一方、「交詢ビル」のような商業施設をさりげなく用意できるところに、日本橋・八重洲・銀座を本気で再生しようという三井不動産の意気込みと、懐の深さを感じた。 (福岡伸一 記者) |
銀座に新しい名所≠実感 |
建て替え前の「交詢ビル」については、今から20年も前だろうか、前職の記者時代、このビルの一室をお借りし、住宅評論家の佐藤美紀雄氏の司会による座談会を行ったことを記憶している。風格のある調度品などにびっくりし、ホテルの一室とはまた異なった落ち着きのある雰囲気で会が行われたことや、頂いたコーヒーがとてもおいしかったのも思い出した。「銀座にもこんなところがあったのか」と感慨にふけったものだ。 今回建て替えられたビルは、当時の正面玄関が一部ファサードに残されているのみで寂しい思いもしたが、銀座の活性化にはやむをえないのかと納得もした。 マスコミに公開されたのは地下1階から2階までの「バーニーズニューヨーク銀座」と、4・5階の飲食施設だった。ファッションには全く疎い記者にとって地下1階から2階までは何がなにやらサッパリ分からなかったが、フランスの芸術家ジァン・ポール・フィリピ氏によるモニュメントや壁に描かれた絵画は目を引いた。店舗全体がアートのような雰囲気もあった。 4・5階部分は馴染みのある飲食店もあり、一軒一軒仔細に見て回った。値段は高いが、いつか利用したいと思った店ばかり。銀座ならではの粋な造りもさることながら、フロア、壁などが全て天然素材で仕上げられているのにも目を奪われた。カリン、タモ、ツバキ、サクラ、ブビンガ(アフリカ産)、瓦、御影石、陶板、有田焼原石、ガラス素材、絹の布クロス、掻き落とし、石片入り壁などなど2時間にわたり堪能した。 銀座に新しい名所ができたことを実感した。 (牧田 司記者) |