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環境共生住宅 売る側も買う側にもご褒美≠ (7月23日)

 

 大京が近く分譲する 32 階建て超高層マンション「ライオンズタワー月島」が、超高層マンションとしては初めての ( 財 ) 建築環境・省エネルギー機構による「環境共生住宅」として認定された。

 これはこれで素晴らしいことだ。まだまだ古い街並みが残る中央区佃地区で、同社は約 4700 平方bの敷地を完全にオープンにし、地域住民が通行可能な 4 本の路地を設けた。また、地域住民の要望を受け入れ、団地内共用施設内に町会施設も設け、中央区に寄贈した。このほか、屋上緑化や近隣住民も利用できるコミュニティ・ピロティゾーン、子育て支援施設なども設けた。

 記者は、年間約 200 現場のマンションを見学しているが、隣の敷地と区別するフェンスなどが全くないマンションは、記憶によればこれが初めての経験だ ( 都市公団の大型団地や、民間の大規模マンションには例がある ) 。防犯≠ェ販促ツールになっている現状からすると、同社はとんでもないことをやってのけた。快哉を叫びたいぐらいだ。

 モデルルームのグレードがやや低いのは気になったが、地域住民から感謝状をもらったマンションなのだから、ぜひとも売れて欲しいとも思う。

 記者が言いたいのは、各社が同社のように積極的に環境共生に取り組んで欲しいということと共に、環境共生住宅に金融面と税制面でもっと支援すべきということだ。

 環境共生の必要性については言うまでもないことだが、同機構による認定団地は数えるほどしかない。本来、「環境共生住宅」など認定せずとも当たり前であるべきものだ。

 そうならないのは、購入者への金融・税制面でのインセンティブがないからだ。環境先進国のドイツだって「環境共生住宅だったら価格が高くてもよい」と答える人はほとんどいないという。わが国ならなおさらだ。悲しいことだが、売る側も買う側もご褒美≠ェなければ誰も取り組まない。

 住宅金融公庫融資には確かに環境共生住宅の割増融資はあるが、それは省エネルギー融資やバリアフリー融資の中に盛り込まれているに過ぎない。このほか、埼玉県のように 1000 万円の借入金を限度に、銀行金利より 0.5 %利子補給する制度を設けているところもあるが、取り組みの緊急性からして不充分だ。

一定基準以上の環境共生住宅には、金融面はもちろん固定資産税、都市計画税の減免など税制面での思い切った支援策を取るべきではないか。

そういえば、記者は数年前、石原東京都知事に「環境共生住宅に税制面での減免を行ったらどうか」と質問したら、都知事は「それはいい考えだ。検討する」と仰った。その後、どうなったか記者は知らない。

(牧田 司記者 7月23日)