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三井不動産グループ「お客様センター」稼動で考えること

 三井不動産とグループ会社、三井不動産住宅サービスは7月1日、マンション生活に関する所有者・入居者の問い合わせに24時間365日対応する「お客様センター」を稼動させた。マンション管理会社の三井不動産住宅サービスが従来より行っていたマンションの漏水や断水などの緊急事態に対応する「緊急センター」の機能を保ちつつ、マンション生活に関する問い合わせに対応するコールセンター機能を付加し、入居者の満足度の向上をめざすものだ。緊急事態以外の問い合わせにも、24時間365日対応する。対象となるのは同社が管理している約10万戸の所有者・入居者。

 コールセンターでは、専用のフリーコール電話番号を設置。オペレータースタッフ6人で対応する。オペレーターは、マンションの情報を集めたデータベースを利用して、住戸内の設備や器具についての質問や、管理規約などのマンション生活上の問い合わせに答える。所有者・入居者の質問内容・履歴なども記録する。相談内容によっては営業担当者や関係部署などにフィードバックさせ、CS向上に役立てていくという。

 記者は、稼動に先立って行われた記者見学会で関係者からの説明を聞きながら、名実とも「マンションは管理を買え」という時代に突入したと感じた。と同時に、あらゆるビジネスに広がっていくのではないかという予感を感じた。三井は、1日約450件、年間にして約16万件の相談を想定しているが、相談機能を充実させればその数は飛躍的に増えるし、増えればショッピング、在宅医療、資産管理などあらゆる生活相談にも対応できるようになる。相談がマンション機能を変え、生活を変える可能性を秘めている。他社も追随するのは間違いない。マンションデベロッパーと管理会社ほど、生活者に密着した事業はないからだ。

 もう一つ、今回の取材で強く感じたことがある。それは、三井不動産グループの並々ならぬCSへの取り組みだ。

 今年4月、同社が例年行っている記者懇親会で岩沙弘道社長は、「私の言うとおりになった。有言実行だ」と述べた。日本橋や防衛庁跡地開発などが順調に進んでいるためでもあるが、実に簡潔明瞭で感動的ですらあった。その以前に行われた、 日本最大級のマンション総合情報発信センター「WANGAN LIFE MUSEUM」の開設記者発表会で、 小川修武専務は開口一番、「当社はCSナンバー1カンパニーを目指す」と語った。別の取材で、池上澄善都市開発第二事業部長は「住宅供給は、顧客の目線に立ったソリューション事業」と述べた。そして、今回の「お客様センター」開設のニュースリリースには「住宅CSナンバー1カンパニーを目指し、『満足』を越えた『感動』のサービスを」云々と書かれている。

 CSはどこもが標榜する言葉だが、実践しているかどうかは別だ。記者は、最近の三井不動産の動きを見ていて、一段も二段もステップアップしたと思えてならない。

(牧田 司記者 6月30日)