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ハイブリッド調理器≠フ開発を(6月24日)

 このところ東京電力とデベロッパーが協力してさかんにオール電化を宣伝しており、オール電化マンションは飛躍的に伸びている。

 先日、ある億ションの記者見学会で、どこかの女性記者が「最近、IHが流行っていますが、これはIHではないんですか」と尋ねた。ガスを標準装備しているこのマンションの担当者は、「IHのご要望があればそうしますが、ガスのほうがいいというお客さんのほうが多い」ことを説明されていた。

 記者はIH、オール電化を批判するつもりは全くない。それどころか、今から3年前、東電の社宅・施設跡地で三井不動産、野村不動産、東急不動産がそれぞれオール電化マンションを供給したとき、「これはいい」と、デベロッパーに採用するよう記事で訴えた。

 しかし、IHの最大の欠点は、「調理の楽しみを奪う」ことではないかとも思ってきた。調理は「おいしい」と食べる人に言ってもらえるのがうれしいから楽しくなるのであって、上達もする。失敗もするから、手が抜けないのが調理だ。そういう意味で、中華料理などはガスに軍配が上がるのではないか。ガスの強火であおりながら、きれいに仕上げたときの満足感は、へらでこねるだけのIHでは得られない。だから、調理がいやな人とか下手な人、あるいは高齢者にはIHがいい。心を込めて調理したい人にはガスをお勧めだ。

 さらに言えば、究極の調理器としてはガスとIHのいいところを兼ね備えたハイブリッド調理器≠ェいいと考えていたが、何とまさにそのハイブリッド調理器&tきのアイランドキッチンを別の億ションモデルルームで発見した。ドイツ製だった。「これだ」と記者は思った。つまりガスかIHかではなく、用途に応じて、使う人に応じて提案を行っていく柔軟性が求められているのだと。

 そこで、メーカー数社に問い合わせてみた。松下電器は数年前、双方の機能を兼ね備えたハイブリッド調理器≠発売しているが、「あまり評判がよくなかった」 ( 同社 ) ということで、生産をストップしてしまったそうだ。あるキッチンメーカーの担当者は「水とガスと電気が近くにある場合、使い方を間違えると、静電気のようなものが発生して誤作動を起こし引火する場合もある」と技術的な問題を指摘している。

 件の億ションのシステムキッチンがそういった技術的問題をクリアしているかどうかは分からないが、ハイブリッド調理器≠フニーズは高いはずだ。実現には当然コストなどの問題もあるだろうが、ぜひとも開発に取り組んで欲しいものだ。

(牧田 司記者 6月24日)