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 マンション管理適正化法改正を マンション長寿命化協議会が提言


「マンション長寿命化協議会シンポジウム」(千代田区・イイノホールで)

  
齊藤氏(左)と山根・管理協理事長

 マンション長寿命化協議会(座長:齋藤広子氏)は3月22日、「マンションに安心・安全で長く住まうための提言」を高層住宅管理業協会(理事長:山根弘美氏)に答申し、東日本大震災の教訓を踏まえマンション管理適正化法(適正化法)を改正し、管理組合が良好な居住環境の確保に資する活動が円滑に実施できるよう措置すべきとした。同日行った「マンション長寿命化協議会シンポジウム 〜マンションに安心・安全で長く住まうために〜」で発表した。

 答申は、平成23年6月に管理協から「マンションに安心して長期に住まうための新たな仕組課題」について諮問を受けていたのに応えるもの。

 提言は3つに分けて行われており、政策当局に対しては、東日本大震災を経験して今後は防災減災など地域を含めた共同の利益の増進のための活動がさらに求められるからとし、マンション管理適正化法の改正を求めた。

 さらに、活動を円滑に進めるためマンション管理適正化指針及びマンション管理標準指針などを改正し、耐震診断、耐震化工事などの安全確保の取り組みが行いやすくするように求めている。

 マンション標準管理規約については「区分所有法は管理組合の業務の限界を示すものではなく、管理組合の業務は社会通念や個々の事情などによって定まるもの」とし、管理組合が自らの意志決定により行っているコミュニティ活動について十分考慮すべきとしている。

 管理組合に対しては、地域を含めた防災減災への取り組みを行う場合は、主体的に意思決定し、業務を遂行することを求めている。

 管理会社に対しては、管理組合が主体的な意思決定のうえで活動することが重要であることを啓発し、防災活動などについては可能な限りの支援を行うべきとしている。

 適正化法の改正については、同協議会は今年1月8日、太田昭宏国土交通大臣と面談し、マンションのコミュニティ活動が適正な法の下で活動できるようマンション管理適正化法を改正し、管理組合は財産管理に加え、良好な居住環境を図る団体である旨を規定するよう要望している。これに対し、太田国交相は「マンションにおける円滑なコミュニティは非常に大切なことである」と答えた。

 今回の協議会の答申は、適正化法の改正を後押しするものとなった。

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 区分所有法や適正化法とコミュニティの関係についてはシンポジウムでも意見が分かれた。明大名誉教授で区分所有法の制定にも関わった玉田弘毅弁護士は、「マンションのコミュニティ形成にかかる業務は管理組合ごとに社会通念などを基に判断されるべきで、安心・安全で豊かなマンションライフに向けて、マンション管理適正化法などの適切な改正が望まれる」と語った。

 協議会メンバーの弁護士・篠原みち子氏は、「管理はもっと広義に解釈すべき。本来は自治会の活動を組合がやらざるを得ないこともある。適正化を改正してコミュニティ活動がやりやすいように背中を押してあげるべき」と話し、全国マンション管理組合連合会会長・山本育三氏は、「組合活動は区分所有者の合意形成なくして一歩も進まない。コミュニティ活動は合意形成を得る意味で極めて重要」と述べた。

 また、当日は欠席したが、協議会のメンバーで東大教授の浅見泰司氏は、「管理組合と自治会活動は峻別して考えるべき。混乱を解消するためには適正化法を改正して新たな仕組みを構築することも必要」とのメッセージを寄せた。

 その一方で、協議会メンバーの弁護士・戎正晴氏は、「(パネルディスカッションで コーディネーター を務めた)齊藤(広子氏)先生や篠原先生からはコミュニティの敵≠ニいわれているが」と会場を笑わせた後、「法的観点からすれば、主たる目的が財産管理団体と規定されている管理組合が従たる目的の自治会活動をしていいわけがない」と自説を強調した。

管理協 コミュニティ活動を担保する適性化法改正求む(1/8)

(牧田 司記者 2013年3月25日)