RBA HOME> RBAタイムズHOME >2013年 >

遅々として進まぬ公共建築物の木造化 建基法の耐火基準が壁

低層3階建て以下の木造化率6.1% 平成23年度

 

 農水省と国交省は3月6日、「公共建築物における木材の利用の促進に向けた措置の実施状況」をまとめ発表した。

 これによると、平成23年度の国の低層(3階建て以下)の公共建築物が全体で506棟、合計延べ面積約44.6haが整備された。このうち木造で建てられた公共建築物は31棟(木造化率6.1%)、延べ面積約6,500u(同1.5%)だった。

 木造化ができなかった主な理由として、建築基準法その他の法令に基づく基準で耐火建築物とすることや主要構造部を耐火構造とすることが求められていることが大きな壁になっているとしている。また、災害対策や治安上などの目的から非木造としなければなならないのも理由の一つとしている。

 地方公共団体も国に準じて木材の利用促進方針を定めることになっているが、平成25年2月末時点では都道府県全てが方針を策定しており、市町村方針では全1,742市町村のうち971の市町村で方針を定めている。青森、秋田、富山、長野、岡山、徳島、佐賀、大分、宮崎、鹿児島は全市町村で方針を定めている。

 国は平成22年、低層の公共建築物は原則として全て木造化を図るよう決めており、高層・低層に関わらず直接、または間接的に国民の目に触れる機会が多いところの木造化を促進すると定めた。現在、30%未満の木材自給率も2020年までに50%に引き上げるとしている。

◇     ◆     ◇

 この数値をどう読むのか、木造化は進んでいるのかそうでないのか。国交省は「始まったばかりの数値としてはまずまず」(大臣官房官庁営繕部整備課木材利用推進室)と見ているが、記者は反対だと思う。計画は遅々として進んでいないと見る。現行の厳しい耐火・準防火の基準を緩和しない限り、森林・林業の再生・活性化に真剣に取り組まない限り、木材自給率50%など絵に描いた餅だと思う。

(牧田 司記者 2013年3月8日)