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  住宅ローン「金利競争に伴う利ざや縮小」懸念

「平成24年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果」

 住宅金融支援機構が民間住宅ローンを取り扱う金融機関を対象に行ったアンケート「平成24年度 民間住宅ローンの貸出動向調査結果」をまとめ発表した。アンケートは昨年10月に行ったもので、対象となったのは全国の338金融機関のうち回答があった308機関。

 調査結果によると、平成23年度の金利タイプ別新規貸出では変動金利型がさらにシェアを伸ばし前年度の59.2%から67.8%へと拡大。貸出残高に占める割合でも54.0%と5割を超えている。

 新規貸出額は「大幅増」(30.3%)と「増加」(9.4%)を合わせ39.4%となり、「減少・大幅減」の29.6%を上回った。

 住宅ローンへの取り組み姿勢については、新規・借換とも8割超の機関が「積極的」と答えた。積極的な理由としては、「貸出残高の増強」(73.4%)がトップで「家計取引の向上」(64.6% ) 、「住宅以外の貸出伸び悩み」(49.4%)の順。

 積極化方策としては、「借換案件の増強」(62.8%)「金利優遇拡充」(47.6%)「商品力強化」(45.4%)が上位に上がっている。今後重視する商品特性としては、「新築向け」(79.5%)「借換」(73.8%)「リフォーム」(57.0%)「中古住宅向け」(45.3%)「環境配慮型」(28.2%)が上位に上がっており、「リフォーム」「中古住宅向け」は前年度よりそれぞれ7.5ポイント、4.2ポイント上昇した。

 審査内容や基準の変化については、約5割が「ほとんど変わらない」としている一方で、「ほぼ同じだが慎重になった」(23.1%)「時間を要する案件が増えた」(3.6%)とするものもあった。業態別では、都銀・信託が「ほとんど変わらない」が71.4%を占めたが、信用金庫、信用組合は「厳格化」「やや厳格化」が10%以上となり、労働金庫は「緩和した」が41.7%となるなど業態によってばらつきも見られる。

 重要度が増している審査項目では、「返済負担率」(63.7%)「職種・勤務先・雇用形態」(51.5%)「借入者の社会属性」(37.3%)が上位となっている。審査の所要時間は平均3.2営業日。

 金融機関が懸念する住宅ローンのリスクは、「金利競争に伴う利ざや縮小」(93.4%)「他機関への借換」(66.9%)不安が年々増加しており、「景気低迷による延滞増加」は平成22年調査時点の82.1%から今回は63.6%に減少した。また、「中長期的な採算性悪化」を懸念する声は3年前の30.2%から49.2%へと増加している。

 住宅ローンのリスク管理の変化については、「大きな変化がある」(9.5%)と「やや変化した」(50.5%)と見直し機運が高まっている。

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 記者は、日本住宅建設産業協会(日住協)が一昨年、国交大臣宛に提出した「住宅金融支援機構の業務に関する要望書」の要望事項が反映されているかどうか興味があったが、アンケート結果では残念ながら分からない。

 日住協は要望書の中で、「フラット35」の審査で金融機関が承認しても住宅金融支援機構が否認するケースが多いとし、単身者、自営業者、勤務年数の少ない者に対して審査が厳しい、審査時間は案件によっては3〜4週間かかる、50u以下のマンションの審査が厳しい、個人の信用情報が共有されているため一度、信用情報機関に記録されブラックになると再チャレンジできなくなるなどとしている。

(牧田 司記者 2013年2月25日)