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 積水ハウス キッズデザイン体験施設 多摩NT「東山」にオープン


「コドモ里山ラボ東京森都心(とうきょうしんとしん)」

 積水ハウスは5月3日、キッズデザインの見学体験施設「コドモ里山ラボ東京森都心(とうきょうしんとしん)」を多摩ニュータウン内の681区画の分譲地「東京森都心 多摩ニュータウン東山」にオープンする。コドモの心理学や事故事例から得た知見を生かした生活提案「コドモイドコロ」に基づいて、異業種5社とのコラボレーションで設計・開発したキッズデザインを体験できるモデルハウス。オープンに先立つ4月30日、報道陣に公開した。

 施設は、クルドサックの中央に植えられた大木をそれぞれ眺められる4区画から構成されており、モデル棟は敷地面積約231u、建物延床面積約136u。子どもにとっていい住まいとは何か≠ノついて考案され、引き出された解答「生きる力を育む家」を実大モデルで実現したもの。ポイントは@イドコロづくりとA危険をコントロールすることの2点。イドコロづくりでは、子どもの感性、知性、社会性を発達させるためのハード・ソフトを盛り込み、危険のコントロールではスマートユニバーサルデザインの考えに基づき、危険を子どもが学習できるようにしているのがポイントとなっている。

 土間収納、ピットリビング、ベンチソファ、マドベ、間仕切るーむ、ビーンズテーブルなどが提案されており、キッズデザイン・アイテムでは、ドア指はさみ防止スクリーン、ビーンズ型ダイニングテーブル、空気環境配慮仕様、フルフラットバルコニー、指はさみ防止引き戸などが採用されている。

 「コドモイドコロ」は、キッズデザイン協議会が10月1日から開始する、子どもの安全向上のための業界横断型ガイドラインを適用し、デザインプロセス評価と企業が実施した製品評価の確認を主体とした認証制度「CSD認証」のプレ認証第一号として合格している。施設について、キッズデザイン協議会専務理事・小野裕嗣氏は「この7年間の取り組みの成果が凝縮されている施設。どこがどこなのか分からない≠フが秘訣」と話した。

 現地は、京王相模原線京王堀之内駅から徒歩12分(セカンドステージ)、八王子市堀之内に位置する全681区画の団地の一角。土地売主は同社と大和ハウス工業。昨年4月から分譲が始まっており、これまでに100区画以上が分譲済み。同社が建売住宅(9戸)を分譲するのは今回が初めて。価格は5,400万円台〜6,100万円台。

 
1階リビング                              2階こども室

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 今から20数年前、記者はユニバーサルデザインと出会ったときから「これからの住宅は人に優しい、環境に優しいが大きなテーマになる」とずって思ってきたが、それを実践しているハウスメーカー・デベロッパーのトップランナーが同社だ。

 今回の施設も見所が一杯だ。全部は紹介しきれないがいくつか紹介しよう。まず2階の「フルフラットバルコニー」。居室とバルコニーのまたぎ部分を解消したものだが、建売住宅のモデルハウスで見学したのは初めてかもしれない。国交省も30年も前から研究してきたものだが、これを採用するハウスメーカー・デベロッパーはほとんどないのが現状だ。同社も2〜3年前に提案しだしたばかりだと言う。ゲリラ豪雨≠ネどによる室内への防水対策が難しかったという。またぎ部分がないとどれだけストレスが解消されるかは言うまでもない。これは大人でも子どもでも同じだ。

 「ビーンズテーブル」もグッドアイデアだ。 座ったとき正対しなくてもいいようにテーブルの天板を豆型にしたものだ。これについては最近、室町時代から伝わるという「小笠原流礼法」の講義を受けたのだが、講師の方も同じことを話した。つまり、正対すると部下などはどうしても気後れしてしまい、なかなか自分の思いを伝えられないのだそうだ。確かに大人も子どもも正対すると、「塾、サボったでしょ」「飲み代、過少申告したでしょ」などと目上から全て見透かされているような気持ちになるものだ。

 「マドベ」も、外の景色を眺めながらコーヒーを飲むのもよし、本を読むのにも最適なデスク付きだ。チャイルドロック付の浴槽、引き戸、玄関ドアなどもよく考慮されたもので、倒れてもやけどをしない電気ケルトもあった。記者は独身時代、小さな子どもを預かった際、電気ポットを子どもが倒して大騒ぎとなり、病院に駆け込んだことがある。幸い、指に水膨れが出た程度で済んだが、医者から「君とお子さん、奥さんの関係は何だね」といわんばかりに睨まれ、肝を冷やしたことがある。子どもは一瞬たりとも目が離せないことを学んだ。

 記者はユニバーサルデザイン・アイテムの多くを知っているが、同社の東山プロジェクトリーダー・川口悟氏によると、「先日からすでに見ていただいているお客さまもいらっしゃるが、みんな目を輝かせて見学される。たくさんのお客さまの声をデータ化し、企画に反映していこうという気持ちがわれわれにはある。お蔭さまて販売も極めて順調」と話した。

 同業にも見学をお勧めだ。全部とは言わない。キッズデザインの一つでも二つでも商品企画に採用してほしい。これほど徹底した提案を行なっているものは他にない。

   
フルフラットバルコニー                   指つめ防止玄関ドア        指つめ防止引き戸

(牧田 司記者 2013年4月30日)