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都内に比肩するものなし

野村不動産の戸建て「プラウドシーズンひばりが丘」


「プラウドシーズンひばりが丘ガーデンテラス」

 建基法のメニューにない「容積率120%」 地区計画で採用

 野村不動産が10月下旬に分譲する戸建て「プラウドシーズンひばりが丘ガーデンテラス」を見学した。西武池袋線ひばりケ丘駅からバス便ではあるが、都内に比肩するものがないレベルの高い戸建て団地だ。

 物件は、西武池袋線ひばりケ丘駅から徒歩19分、またはバス約7分徒歩2分、東久留米市ひばりが丘団地に位置する建蔽率50%、容積率120%の全115区画。土地面積は120.02〜145.71u、建物面積は95.02〜112.55u、予定価格は4,800万円台〜6,600万円台(最多価格帯5,500万円台)。建物は平成24年8月上旬に完成済み (1部除く)。設計・施工は西武建設、東急建設、細田工務店。

 現地は、昭和34年に建設された開発面積約33.9万uのUR都市機構の「ひばりが丘団地」の一角。同団地は現在、建て替えを中心に再生事業が行われており、同社は戸建てエリアとしてUR都市機構から用地を取得したもの。

 1区画当たり敷地面積を120u以上とし、街路は一部を除き6m確保しているのが大きな特徴で、同社の都内の大規模戸建て開発としては3年前に分譲した「プラウドシーズン花小金井」(全250区画)以来。

 ランドプランとしては、天然石を用いたゲートウォール、インターロッキング舗装と高木・ベンチ・花台を設置した「グリーティング・プラザ」、3連カーポートのオープンスペース化、豊富な植栽計画などが特徴。

 住戸の商品企画としては、同社の戸建てカラーともいえるオレンジや茶系の外観デザインで、建物に表情を持たせたデザインモール、屋根付きのテラスのある「ロッジア」、「スカイテラス」、印象的な門灯つきの門柱、光と風を取り込む窓の多用など。


モデルハウス

◇     ◆     ◇

 取材を終えて帰る途中、どうしてこの団地は美しいのだろうと考えた。たどりついた結論は、まず第一に街区道路が6メートルと広いこと、次に1区画当たり120uを確保していること、そして建蔽率50%、容積率120%の組み合わせが極めて合理的ではないかということだ。

 社に戻り、国交省、都庁、東久留米市に電話して確めた。国交省によると、建基法のメニューには容積率は80%、100%、150%などはあっても120%はないとのことだった。都も同様で、「建蔽率50%、容積率120%というのは平成16年のデータを見る限りない。地区計画で容積率を120%にすることはありうる」とのことだった。東久留米市では「エリア全体は建蔽率60%、容積率200%の第一種中高層専用地域だが、一部は地区計画により建蔽率50%、容積率120%に指定されている」とのことだった。野村不動産の戸建てについても調べてもらったが、最近の事例では建蔽率50%、容積率120%という事例はないそうだ。今回の戸建て団地はこの地区計画によって定められたというわけだ。

 これだけ確認できたことでも大収穫であった。つまり建基法には容積率120%というメニューがないということだが、30〜40坪ぐらいの敷地を想定した場合、建蔽率が50%(60%でもいい)で容積率が120%ということは(前面道路条件や斜線制限はあるが)、延床面積は36〜48坪となり、一定の空地・オープンスペースを確保しつつ極めて合理的に建てられるということだ。建基法にも容積率120%のメニューを設けてはどうか。すぐには無理としても、戸建てエリアでこの容積率120%の地区計画を誘導するよう考えてはどうだろう。ぜひ関係者にはこの同社の物件を見学することを勧めたい。

  
「ロッジア」

◇     ◆     ◇

 販売を担当する同社の販売所長・三上一人氏は、「都内でこれほどの大規模で1区画当たり120u以上という街づくりは他にないはず。建物の細部にわたって何度も作り直したほどこだわった。どこの団地にも負けない」と胸を張った。三上氏は同社の若手のホープの一人で、これまで東雲、新浦安、市川、稲毛などの人気マンションを手がけてきた。

 三上氏の名前の「一人」は、都内のどこを探しても他にない美しい団地という意味でこの団地にぴったりではないか。

  3連のカーポート                               「グリーティング・プラザ」


門柱・門灯


道路工事中の「ひばりが丘団地」(ケヤキの大木がそのまま残されている)

(牧田 司記者 2012年9月25日)