RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 > 週刊住宅 2011年度の「首都圏優秀マンション表彰」 いま一つ分からない物件基礎点の評価 |
週刊住宅新聞社は7月20日、2011年度の「首都圏優秀マンション表彰」で最優秀賞に「パークコート六本木ヒルトップ」(売主・三井不動産レジデンシャル)を選んだほか、「郊外大規模」など6部門の優秀賞9物件(7物件+1事業2物件)と特別賞5物件を選定したと発表した。2011年度(2011年4月〜2012年3月)に販売実績があった新築分譲マンションを対象に、デベロッパーの自薦と評価委員の推薦による77物件から選んだ。評価委員は大久保恭子氏、櫻井幸雄氏、目黒孝一氏の3氏。 「パークコート六本木ヒルトップ」以外の優秀賞は、「都心中規模」が「センチュリーフォレスト」(鹿島建設)、「都心小規模」が「プラウド上原」(野村不動産)と「ザ・パークハウス石神井町6丁目」(三菱地所レジデンス)、「郊外大規模」が「オーベルグランディオ多摩中央公園」(大成有楽不動産)と「シティテラス横浜仲町台壱番館」(住友不動産)、「郊外中規模」が「オハナ八坂萩山町」(野村不動産)と「オハナ平塚桃浜」(同)、「郊外小規模」が「ザ・パークハウス茅ヶ崎東海岸南」(三菱地所レジデンス)。「オハナ」の2物件は「オハナシリーズ」の事業性が評価された。 特別賞の「週刊住宅新聞社賞」が「プラウドタワー東雲キャナルコート」(野村不動産)と「アンビシャスシティ越谷」(アンビシャス)、「評価員特別賞」が「ナイスクオリティス横濱鶴見」(ナイス、明豊エンタープライズ、長谷工コーポレーション)、「ザ・ライオンズ国立」(大京)、「エコヴィレッジ杉並松庵」(リブラン)。 ◇ ◆ ◇ 同じものが他にないという不動産を評価するのはきわめて難しい。記者も毎年「話題のマンション」を選んでいるが、選定基準などあってないようなものだ。基本的にはよく売れたものを最優先するが、時には居住性が優れたもの、時代を先取りした商品企画の物件などを選ぶときもある。その意味で、今回の優秀マンションについてあれこれ言うつもりはないし、言う立場にもない。年度を代表するマンションを顕彰することはいいことだ。最優秀賞に選ばれた「パークコート六本木ヒルトップ」も極めて優れたマンションだと思う。 ただ正直に言えば、記者はいつも暦年でマンション市場を考えているので、このような年度で物件を評価する制度には戸惑う。「これは前年度の物件ではないか」「この物件が選ばれているのに、あの物件はどうして選ばれないのか」というものが少なくない。選ばれた14物件のうち3物件は知らない物件だった。 もう一つ付け加えれば評価委員の評点(60点満点)とは別の基礎点(40点満点)の配点がもう一つはっきりしないことだ。基礎点については「交通利便性や専有部の性能、建物の構造など15項目について売主へのアンケートによる自主申告方式で評価を行い、評価点はコストパフォーマンスや環境性能、デザイン、共用施設など10項目について評価委員が評価した」とあるが、総じて郊外より都心、小規模より大規模のほうが高い得点を得ている。満点40点のうち39点の最高得点を得た「六本木」に対して、「平塚桃浜」「茅ヶ崎東海岸南」は25点だ。また、「六本木」同じ都のマンション環境性能評価制度で満点の「星3つ」を獲得した「東雲」は31点だ。 この差は何だろう。そもそも坪単価500万円の「六本木」と127万円の「平塚桃浜」を同じ土俵に立たせることなど無意味だと記者は思う。都心物件が高い評点を獲得するのなら、郊外物件などは最優秀賞を受賞することはありえないのではないか。過去2回の最優秀賞も都心の大規模物件だった。 記者は昨年の「ベスト3マンション」に戸数がわずか9戸しかない三菱地所レジデンス「パークハウス吉祥寺OIKOS 」と、販売には苦戦するのを承知で平均専有面積が162uの積水ハウス「グランドメゾン伊勢山」(99戸)を選んだ。この2物件は評価委員の評点ではいったい何点を獲得するか、機会があったら聞いてみたいものだ。 |
(牧田 司記者 2012年7月22日) |