RBA HOME> RBAタイムズHOME >2012年 > 管理協・黒住昌昭理事長が退任へ 新理事長に山根氏が内定
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高層住宅管理業協会の黒住昌昭理事長(大京アステージ会長)が今期限りで退任する。3月14日に行われた理事会で表明したもので、その後の恒例の記者懇親会の冒頭でも明らかにした。後任には副理事長の山根弘美氏(56歳、ダイワサービス社長)が就任する予定。 黒住氏は、平成3年5月から同19年6月まで理事長を務めた川崎達之氏(東急コミュニティー)の後を引き継いで同19年7月から理事長を務めている。退任の理由として70歳の年齢をあげ、「以前から70歳になったら仕事を辞めようと思っていた。男の美学だ」と語った。 ◇ ◆ ◇ 記者は、懇親会に10分近く遅れたので、冒頭の「退任会見」は聞き逃した。びっくりした。長期政権が続くものと思っていた。区分所有法に例えれば、黒住氏は大京グループの「専有財産」ではなく、業界の「共用財産」だと思っている。黒住氏ほどの切れ者はこの業界にそういない。共用部分の変更(17条)に必要な4分の3決議要件を使って留任させるべきだろうとも思うが、本人の意思が強いようでやむをえない。同法17条2項には「共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない」というやっかいな条文もある。 「黒住氏は切れ者」と書いたが、この言葉から受ける「やり手」という印象とはまた違う。柔道に例えれば寝業師だ。危機一髪の破れかぶれの荒技や、相手をねじ伏せる一本背負いを食らわせるタイプではない。相手が疲れるのを待って寝技に持ち込み、「もういいだろ。ギブアップしろよ」とささやきかけるようなタイプだ。 そうした特技は、管理協の運営にもよく現れている。最近では、いろいろな学識経験者や業界団体を巻き込んで立ち上げた「マンション長寿命化協議会」がそうだし、明日提出予定の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」に対する意見書も管理協だけではなく、全国マンション管理組合連合会と連名でまとめ上げたのもその一つだ。「住生活総合サービス業」を打ち出し、地味な業界の認知度を上げるためにも活躍した。 黒住氏は個人的にもっとも好きな業界人の一人だ。もう一人、好きな業界人に三井不動産会長の岩沙弘道氏がいる。二人の共通点は声がいいことだ。テノール歌手(黒住氏は東大の合唱部OBだが、岩沙氏のほうが高い声が出るはず。どちらが歌がうまいかは知らない)のように高音で極めて簡潔明瞭に話す。メモが取りやすい点では双璧をなす。 これはもう時効だろうから書くが、黒住氏は就職するとき、三井不動産からも誘いがあったそうだ。本人はその気になったが、父親から「不動産屋なんぞに就職したら勘当だ」と言われ、銀行に就職した。もし、黒住氏が親の恫喝に屈せず三井不動産に入社していたら、黒住−岩沙のテノールコンビが実現していたかもしれない。 後任の山根氏は56歳。まだまだ若いし、体力もありそうだ。黒住氏がスタートさせた「住生活総合サービス業」を軌道に乗せるのに期待したい。 |
(牧田 司記者 2012年3月14日) |