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郊外マンション復権の起爆剤に

総合地所・長谷工コーポレーション

「志木の杜レジデンス」


「志木の杜レジデンス」完成予想図

 

 総合地所(事業比率50%)と長谷工コーポレーション(同50%)は3月8日、「商・住・育・癒」の複合都市「SHIKITO」に誕生するマンション「志木の杜レジデンス」の記者見学会をおこなった。

 物件は、東武東上線・東京メトロ有楽町線・副都心線志木駅から徒歩19分、またはバス5分徒歩3分の志木市柏町一丁目に位置する11階建て全319戸の規模。専有面積は73.35〜97.08u、予定価格は2,500万円台〜3,900万円台(予定最多価格帯2,900万円台)、予定坪単価は120〜125万円。竣工予定は平成24年2月中旬(第一工区)、平成24年8月中旬(第二工区)。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は総合地所と長谷工アーベスト。販売開始は3月下旬。

 現地は、薬品メーカーの工場跡地で、総開発面積約6万u。すでに開業済みのショッピングセンター(「いなげや」「ビバホーム」)と保育所、高齢者福祉施設との一体開発であるのが最大の特徴。

 マンションは、長期優良住宅の考え方と、長谷工コーポレーション独自の技術・サービスを融合させた「ロングクオリティ・マンション」(商標登録済み)システムを初めて採用したのが特徴。また、長谷工コーポレーションが開発した設備機器 90 アイテムの中から自由に選べる「E −label (エラベル)」が採用されている。「E −label (エラベル)」とは、長谷工コーポレーションが開発したもので、内装の仕様設備や間取り、カラーリングなどが自由に選べ、設置費用は標準仕様との差額をローンに組み込めるもの。 90 アイテム7,300バリエーションが用意されている。

 1期の販売戸数は未定だが、先々週、先週の2週間で来場者は150組に上っており、要望書住戸は143件。

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 発表会には、総合地所常務執行役員分譲事業本部長・長谷川治氏、長谷工コーポレーションエンジニアリング事業部ゼネラルプランナー・柳原武義氏、同社技術推進部門執行役員・河村順二氏、同社都市開発部門住宅開発事業部事業部長・滋野克哉氏が出席、それぞれの立場から事業説明を行ったように、かなり力をいれているプロジェクトであることが分かる。

 事業主の総合地所・長谷川氏は「これを起爆剤に『追浜』『花小金井』『さいたま新都心』などの郊外物件を続々供給していく」と語った。

 長谷工コーポ・滋野氏は「リーマンショック後、年収が400万円、500万円の層が買える優良物件の供給が少なくなっているが、これが新しい郊外マンションのスタートになるようにしたい」と述べた。また、「取得した土地のうち約19,000uを残地として所有しており、500〜600戸のマンションも含め用途を検討していく」と語った。

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 このプロジェクトについて、長谷工コーポレーションの広報担当者から初めて聞いた段階では、単棟型ではいくら価格が低くても歩ける距離でないのは相当苦戦するのではないかと思ったが、すでに大型ショッピングセンターが開業済みなのを見て、「これはいける」に変わった。単価も駅近と比べると坪単価にして60万円は安い。しかも、長期優良住宅の「ブランシエラ浦和」などに採用した最先端の技術も盛り込まれている。

 東武東上線沿線のマンションは、東武伊勢崎線ほどではないが、極めてグロス志向の強いエリアだが、商業施設を先行して完成させ、この単価でこのレベルなら早期完売する可能性が大きいと見た。

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 先日見た三井不動産レジデンシャル「パーク・シティ国分寺」同様、このマンションも絶対高さ規制が適用されていた。通常は25mで、環境を整備したことなどによる緩和措置として31mとなっている。11階建てで、リビング天井高が2400ミリとなっているのはこのためだ。

 絶対高さ規制には腹が立つので、「このような規制は時代に逆行している。規制を取っ払えば、建物のデザインもよくなり、居住性能が高まる。長谷工コーポレーションが声を大にして主張すべきではないか」と質問した。これに対して、河村氏は「その通りだが、なかなか理解されない」と答えた。

 絶対高さ規制は、間違いなく居住性能を低下させ、既存マンションの建替えを困難にし、事業者の開発意欲を殺ぎ、やがては街全体の活力を低下させることになる。業界全体が取り組まなければならない喫緊の課題だ。

(牧田 司 記者 2011年3月8日)