RBA HOME> RBAタイムズHOME >2011年 >

  管理協 地域共生セミナー 「管理組合と自治会は車の両輪」


「地域共生セミナー〜これからのコミュニティを考える〜」(横浜市都筑区・横浜市歴史博物館で)

 高層住宅管理業協会(管理協)は9月17日、マンションと周辺地域のコミュニティ形成をテーマにした「地域共生セミナー〜これからのコミュニティを考える〜」を横浜市都筑区で開催し、自治会役員の事例紹介のほか、横浜市都筑区の自治会・町内会に対する取り組みや、山梨学院大学法学部教授・日高昭夫氏の「今後のマンションにおける地域コミュニティの形成」をテーマにした講演を行った。関係者ら約90人が参加した。

 冒頭に挨拶した同協会・黒住昌昭理事長は、同協会が最近力を入れている専有部サービス、コミュニティ支援活動、地域共生の取り組みなどを紹介し、「これからは、朝早くから夜遅くまで働き、家に帰るだけだった企業戦士がリタイアし、和やかで暖かい環境の中でマンションの管理や地域との共生に仕事で培った知見が発揮されると思っている。私どもも住生活総合サービス業として貢献したい」と語った。

◇    ◆   ◇

 結構なセミナーだ。記者は、事例紹介した「港北ガーデンホームズ」元自治会長・安井正秀氏の話に驚いた。同マンションは平成元年に竣工した全151戸の規模で、売主はレベルの高いマンションを分譲していた第一ホテルエンタープライズだが、マンション管理組合と自治会が見事に役割分担・連携してマンションの価値の向上や地域との共生に大きな役割を果たしていたからだ。任意加入の自治会の加入率は93%にも達している。

 さらに、同マンションも含めた周辺の4つのマンション管理組合と連合自治会組織をつくり、全988戸のうち91%に当たる900戸が加入しているという。活動は地域の防犯・防災活動から地域の社会福祉協議会と連携した福祉活動、シニア活動、青少年指導、その他さまざまな分野にまで広がっている。

◇    ◆   ◇

 都築区の取り組みも興味深かった。「管理組合と自治会は車の両輪」と位置付け、しっかり自治会・町内会活動をサポートし、街のブランド力をアップさせようという姿勢がよく理解できた。日高教授は、マンションと地域コミュニティ形成について広い視点からその役割や意義などを話した。

◇    ◆   ◇

 「町内会」といえば、住民を監視する「翼賛会」の働きを演じた歴史があることから、排他的・保守的なイメージが強く、行政の手足≠フ役割を担わされている側面があることは否めない。何事も「前例」を重んじ、新しいことに取り組むことに後ろ向きになりがちなところもある。拒否反応を示す人が少なくないのはそのためだろう。「マンションは地域の住環境を破壊するもの」という先入観があり、マンション管理組合などと対立する場面もある。

 しかし、双方がよりより街づくりに手を組むことが必要なことを今日のセミナーは教えている。生産人口比率が高く、高齢者人口割合が低い都築区は街づくりの見本でもある。


黒住理事長

(牧田 司 記者 2011年9月20日)