マンション空白地帯を駆け抜ける 野村不動産他「検見川浜レジデンス」
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野村不動産(事業比率52.5%)、三井不動産レジデンシャル(同42.5%)、富士見地所(同5.0%)が近く分譲開始する「検見川浜レジデンス」を見学した。 物件は、京葉線検見川浜駅から徒歩4分、千葉市美浜区真砂4丁目に位置する敷地面積約1万平方b、15階建て全379戸の規模。専有面積は約61〜91平方b、価格は未定だが、坪単価は170万円台になる模様だ。竣工予定は平成23年2月上旬。施工は前田建設工業。 建物は東南向きと南西向きのL字型で、基壇部はブラウン、ベージュのタイル張りで、中高層部はガラスバルコニーとルーバーを配した軽やかなデザインが特徴。プランは小家族向けの60平方b台からファミリー向けの70〜80平方b台が中心。設備仕様は、野村不動産と三井不動産レジデンシャルのいいとこどり≠採用しているという。 駅から車歩分離のアクセスがよく、生活利便施設がほとんど徒歩数分圏に揃っている。街のポテンシャルは新浦安や海浜幕張には負けるが、街並みはよく整備されている。 反響もよく、販売担当者は一期分譲として150戸ぐらい供給したいとしている。競合物件もなく、早期完売は必至だ。 ◇ ◆ ◇ 幹事会社の野村不動産にとっては笑いが止まらない物件だろう。千葉県企業庁から用地を取得したのは平成21年2月。応札したのは同社だけだった。総額28億7000万円で、坪単価にすると28.7万円。容積率は300%だから1種当たり9.5万円だ。実際の建築延床面積は約38,901平方メートル(うち8,714平方メートルが容積対象外面積)。着工は昨年の9月。 同社が落札した約半年前の平成20年5月には、同物件と駅を挟んだ反対側では清水総合開発が容積率200%の土地約2300平方bを約6億6000万円で落札している。坪当たり単価は野村不動産とほぼ同じ28.5万円だ。応札したのは9社だった。容積が200%だから、1種当たりにすると約14.3万円。5階建ての50戸だ。 野村不動産が用地を取得したのは、マンション用地などどこも仕入れられなかったリーマンショック直後だ。一方の清水総合開発の取得時期は、サブプライムローン問題が浮上する直前。ミニバブルで沸いていたころだ。応札企業は前者が1社、後者が9社に上ったことからも、いかに市場が激変したかが分かる。 そして、野村不動産は昨年9月に着工した。用地取得からわずか7カ月後だ。千葉県では昨年6月以降、マンションの着工戸数はわずか940戸しかない。同社の物件だけでそのうちの40%を占めるわけだ。 同社は、新浦安エリアでも最後のマンションとなりそうな550戸を分譲する。千葉の空白地帯をひとり独走しそうだ。 ◇ ◆ ◇ 清水総合開発も近く分譲開始するが、果たしていくらで売るのか。ただ、清水総合開発にとっても救いなのは、競合物件が少ないことだ。検見川浜の分譲マンションは、セザールが駅前で分譲した2000年以降ほとんど分譲事例がない。野村不動産の物件が70〜80平方b台が中心なのに対して、広めの90平方b台〜というのもプラスに働きそうだ。 |
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(牧田 司 記者 2010年3月3日) |