飯田グループ 建売住宅市場を席巻 6社で年間2万棟販売
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一建設を代表とする飯田グループの業績が急回復、市場を席巻している。飯田グループとは、一建設の旧社名の飯田建設工業と同社OB会社を総称して飯田グループと業界では呼ぶ。一建設の「一」は、同社の創業社長、飯田一雄氏の「一」と「業界トップ」の意味が込められている。 飯田グループは一建設を筆頭に6社ある。このうち関西圏を地盤にしているファースト住建を除き、全てが首都圏を中心に関東、東北、関西、名古屋圏などに進出している会社だ。一建設、アーネストワンなどはマンション供給も行っているが、いずれも建売住宅事業比率が圧倒的に高い。建売住宅専業と言ってもよいぐらいだ。 以下は飯田グループの直近の年間戸建て販売棟数だ。トップの一建設が6,117棟に達しているのを始め全6社で19,527棟だ。21年の分譲戸建ての着工戸数は約11万戸だから、シェアは17.4%に達する。首都圏に限定すれば20数%に達するものと思われる。 飯田グループの年間販売棟数 業績もすごい。一建設は先に平成22年1月期の業績予想を修正した。 売上高は2,004億円(平成21年12月予想比4.6%増)、営業利益は182億円(同33.3%増)、経常利益は177億円(同35.8%増)、当期純利益は100億円(同34.9%増)としている。売上高経常利益率は住友不動産の今3月期予想の13.8%には及ばないが、三井不動産の6.5%を上回る8.8%だ。 修正理由として、住宅取得税制の優遇策に加え、 特に低価格帯の住宅の需要は堅調に推移していることをあげ、土地仕入から物件の引渡しまでを年3回転させるという当面の目標に近づいたこと、スケールメリットを活かした一括大量発注やプランの統一化などの施策により建物原価の更なる低減に注力したためとしている。 飯田グループに共通するのは、@徹底したコスト削減と1次取得層への絞込みA資金回転率の速さB営業部隊を持たず、地域の仲介業者と連携Cきめ細かな仕入れ体制(一建設は85営業所)――などだ。 @についてみると、一建設が分譲する1棟の平均土地面積は100平方b、建物面積は約95平方b、価格は2,700万円だ。全国平均の新築価格より数百万円は安いはずだし、中古戸建て並み価格だ。安いものが売れる℃梠繧ノぴったりなのかもしれない。 ◇ ◆ ◇ 記者がイメージする建売住宅とは、昨日書いたような積水ハウス「コモンステージひたち野」のような団地だ。昭和50年代から60年代の前半までは、これが普通の郊外団地だった。 飯田グループが分譲するような建売住宅が売れるのが信じられない。しかし、時代は変わったのだ。いまの購入層は、親世代が飲まず食わずでマイホーム資金を貯め、やっと手に入れた建売住宅でも通勤に1時間も2時間もかかったのを見ているはずだ。そのような生き方を望まないのも理解できる。売れる商品はいい商品≠ナもある。 だから、パワービルダーの戸建てに多くは望まない。一つだけ各社にお願いしたいのは、外構、とくに植栽についてだ。建物と異なり、樹木は年々成長し、時とともに街の価値を向上させる。あと1本でも2本でもいいから、樹木を植えて欲しい。 |
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(牧田 司 記者 2010年2月23日) |