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県企業庁の最後のマンション処分用地

 野村不動産「プラウド新浦安パームコート」


「プラウド新浦安パームコート」エントランス


 千葉県企業庁がマンション用地として保有している用地の処分としては最後で、野村不動産の新浦安地区でのマンションとしては3物件目の「プラウド新浦安パームコート」を見学した。

 物件は、JR京葉線新浦安駅からバス8分徒歩1分、浦安市高洲8丁目に位置する14階建て全550戸。専有面積は約85〜135平方b、予定最多価格帯は5,000万円台。竣工予定は平成23年1月中旬。施工は長谷工・奥村建設共同企業体。

 同社は、これまで「プラウド新浦安(08年完成、733戸)」と「プラウド新浦安マリナテラス(09年完成、179戸)」を供給している。第一弾の「新浦安」は、戸数が多かったのとグロスが高くなったために販売は長期戦となったが、第2弾の「マリナテラス」は早期完売している。今回の「パームコート」は道路を隔てて「新浦安」に隣接する。住棟は4階から上の住戸から海が一望できる南東向きと、海まで続く緑道に面した南西向き。

 これほど矢継ぎ早に供給して売れるのかどうかが最大の関心事だ。

 最大のポイントは、県企業庁が保有するマンション用地としては最後の処分ということだ。戸建て用地は、明海大学に隣接するところなど3カ所があるが、マンション用地はこれ以外にない。今回が最終分譲というのは大きな訴求ポイントとなる。

 新浦安が都内の人気住宅地と匹敵する人気の街で、相場の下落がそれほど大きくないというのも追い風となる。同エリアでUR都市機構(同時は都市整備公団)が分譲した初期のマンションは築20年以上経過し、入居者はローンの支払いを終えたか終えるころだ。譲渡損もそれほどないと思われる。買い換え需要も期待できそうだ。築浅の中古の売り物件も少ないことから、需給関係は逼迫している。

 価格的には「新浦安」より坪単価にして10万円ぐらい安い180万円ぐらいになる模様で、これも追い風になる。設備仕様は、現在、圧倒的な人気になっている「プラウド板橋本町」と同レベルと見た。ラクモアで注目したのは、シューズインクロークが防湿機能付きで、洗面室の三面鏡の収納裏はマグネットが付けられるホーロー仕上げになっていたことだ。廊下幅はメーターモジュールより広い1050ミリ、天井高は2600ミリ(最上階の一部は3500ミリ)、平均7.8メートルのワイドスパンなども目を引く。

 さらに、首都圏では初と思われる風力発電機(3基)のほか、「へらすエコ」「つくるエコ」「いかすエコ」「ユニバーサルデザイン」などの取り組みを行っているのも特徴だ。風力発電機は高さが約6メートルで、年間の想定発電量は約1800キロワット。共用部分の使用発電量の2日分、ダウンライトの63個分ということだから、本格的な風力発電機ではなくモニュメント的なものと理解した。それでも首都圏では初の試みだろう。

 現地の販売担当者は販売に自信を深めており、1期分譲として200戸ぐらい供給できると読んでいた。


ラクモアを採用したキッチン

◇     ◆     ◇

 同社は4年間で1,462戸を新浦安地区で分譲することになるが、三井不動産レジデンシャル(三井不動産含む)がまたすごい。下記の通りこれまで5物件2,044戸を供給している。双方で約3,500戸だ。

 駅周辺を含め新浦安地区では約2万戸の集合住宅(賃貸含む)が供給・計画されているはずだが、居住面積が広いというだけでなく、居住空間としての魅力を最大限引き出したのが両社だ。都市基盤を整備したUR都市機構と民間活力を最大限に引き出した県企業庁の役割も大きいが、両社が新浦安のポテンシャルを引き上げるのに大きな役割を果たしているのは間違いない。

 新浦安地区での都市基盤整備はほぼ完了しており、これから水辺エリアの整備が始まる。少子高齢社会で都市間競争が激化するが、少なくとも新浦安だけは都内の人気住宅地にも負けないだろうということは言い切れる。

三井不動産レジデンシャルの新浦安地区での供給実績
「パークシティ新浦安」(258戸、坪単価155万円、02年竣工)
「パークシティ東京ベイ新浦安」(701戸、同135万円、05年竣工)
「パークシティモアナヴィラ新浦安」(310戸、同133万円、06年竣工)
「パークシティグランデ新浦安」(550戸、同158万円、07年竣工)
「パークホームズ新浦安カーサ・セントリア」(225戸、同136万円、08年竣工) ※期間50年の定期借地権付き

野村不 風力発電機付き「プラウド新浦安パームコート」(2/3)

(牧田 司 記者 2010年2月9日)