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結局は各論併記 「建基法見直し検討会」とりまとめ

 国土交通省は12月17日、「建築基準法の見直しに関する検討会」(座長:深尾 精一首都大学東京都市環境学部都市環境学科教授)の検討結果をまとめ発表した。

 今回の検討会は、平成22年3月8日の第1回会合から11回にわたり行われたもので、@構造計算適合性判定制度A建築確認審査の法定期間B厳罰化のあり方の三つの検討課題についてまとめられた。

 @については「各構造計算ルートの審査の難易度に対応して対象外とすることが可能な範囲等について精査を行うため、早急に技術的検討を行う委員会を設置し、当該委員会における検討結果を踏まえ、制度見直しを検討する必要があると考えられる」Aについては、「審査の迅速化に向け、確認審査に係る審査側の審査期間及び申請者側の作業期間の内訳を含め、確認審査に要する期間の実績を開示する仕組みの導入等を検討すべきである」Bについては、「他制度における罰則の水準を考慮して検討する必要があり、併せて、効果的な行政処分による制裁強化を通じた不正の発生防止について検討する必要がある」――など、「国土交通省には、本報告を踏まえ、技術基準検討体制の整備や制度見直しの検討などに早急に取り組むことを強く求める」としている。

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 記者は、この検討会に大きな期待を持って取材した。多くの現場関係者から「継はぎだらけの建築基準法は抜本的な改正が必要」という声を聞いていたからだ。当初の会合でも、「建基法は60年が経過し使いものにならなくなった。もうあいまいにできない」( 桑原耕司・ 希望社代表取締役会長)「建基法も都市計画法も息の詰まる法制度。硬直化している」( 櫻井敬子・ 学習院大学法学部教授)など、建基法の抜本的な見直しを求める声がたくさん出た。

 しかし、この種の検討会の限界でもあるのだろう。結局は、各委員のそれぞれの意見を尊重し、各論併記という形となった。救いなのは、報告書の「おわりに」次のような記述が盛り込まれたことだ。

 「なお、建築基準法の現状が現在の建築設計や施工のあり方に適合しておらず、建築基準法を抜本的に見直すべきとの意見や(中略)建築に携わっている方々からは、現在の建築基準法が望ましい形にはなっていないとする声が聞かれる。

 (中略)建築物の構造等に関する最低基準を定めている建築基準法を、さらによりよいものへ抜本的に見直すためには、どのような障壁があるのか、どのような形で検討を進めるべきか、時代の変化に合わせて今後どのような形に見直していくのか、少なくともそのロードマップを早急に策定することが必要である」

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 「検討会」とりまとめが発表されたことを受けて、馬淵国交相は「建築基準法、最低基準の見直しということで法改正をやっても十分ではない。持論であります建築基本法の制定に踏み出す。建築基本法の制定、そしてそれに伴う建築基準法、あるいは建築士法、建築関連法規の抜本的見直しについて検討を行う」と、「建築基本法」を制定する考えを示した。

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(牧田 司 記者 2010年12月20日)