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販売も好調 会社設立1年半で売上20億円

アグレ都市デザイン


「アグレシオ三鷹野川公園」

 

 アグレ都市デザインの建売住宅「アグレシオ三鷹野川公園」(全2棟)を見学した。物件は、西武多摩川線多磨駅から徒歩15分、三鷹市大沢に位置する2棟現場で、土地面積は117〜120u、建物面積は90〜96u、価格は4,380万円と4,980万円。建物は先月完成済みで、高いほうは契約済みだ。

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 取材の目的は、もちろんどのような戸建てなのかを確認することにあった。同社の代表取締役社長・大林竜一氏は、新日本建物の常務取締役から新日本アーバンマトリックス社長を経て平成21年4月、同社を設立して社長に就任している。

 記者は、大林氏がまだ新日本建物に在籍されていた頃、いわゆるパワービルダーとは一線を画したデザイン性に優れた戸建てを供給していたのをよく覚えている。

今回、見学する前は、期待と不安が入り混じっていた。当時の高い商品コンセプトは時代が時代だから維持するのは難しいだろうが、価格ありき≠フ商品だったら記事にしないとも決めていた。

 結果は、見て正解だった。現地は、野川公園にも歩いて10分もかからない閑静な住宅地の一角で、建物はしっかり造り込まれていた。同社のスタッフに設備仕様などを説明してもらったが、いくつもこだわりのアイテムが採用されていた。一つは、クローゼットだった。クローゼット・ドア(折れ戸)は、引き違い戸にもなるもので、他のデベロッパーはほとんど採用していないものだという。記者も初めて見た。折れ戸はものを出し入れするのに邪魔になる場合があるが、それを解消するために引き違い戸としても利用できるようにしたのだという。

 特徴はまだある。玄関サイドにはスロップシンクが設置されていた。不思議なものがあると思ったが、これは2階リビングにしたため、子ども(もちろん大人もだが)が外出先から帰った時に手洗いをさせるのに便利というお客さんの声を反映したものだという。エントランスの洗い場の水栓は蛇口が2カ所についていた。これは、一つはホースを繋いだまま、もう一つはいろいろな洗い物ができるようにという工夫だ。フローリングは突き板で、ワックス掛けが不用なものを採用している。住宅金融支援機構の「フラット35S」の20年金利下げタイプの適用も受けているという。

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 同社の業績もいいようだ。初年度は20戸の販売で経常利益は6,800万円を計上し、今年度は50戸の販売目標で売上高20億円も確保できるという。先に供給した「国領」の9棟現場は2週間で完売したという。

 大林社長はホームページで「私たちのミッションは、日本の伝統文化を継承しつつ、最新のテクノロジーで人や環境に優しく機能的にデザインされた都市と住まいを創造すること」と語っている。物件を説明してくれたスタッフも「デベロッパーは利益優先に走りがちだが、当社は事業効率よりお客さんの効果(利益)を優先していく」と語った。

 社名とブランド名に付いている「アグレシオ(Agratio)とは、「白銀比」シルバーレシオ(Ag =銀の元素記号)を意味し、日本人が最も美しいと感じる1:√2の比率のことだ。「大和比」とも言われ、短歌の5:7なども同比であり、日本建築ではこの比率を神の比率として法隆寺五重塔などでも用いられている。同社には易きに流れず、高い理想を掲げ続けて欲しい。

      
玄関のスロップシンク         エントランスの洗い場

(牧田 司 記者 2010年12月14日)