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アキュラホームの「家守り」について考えたこと


記者団の質問に答える宮沢社長


 アキュラホームは11月17日、記者懇談会を行い、同社・宮沢俊哉社長が同社の近況と主宰を務めるジャーブネットの近況について語った。

 同社の近況について、宮沢社長は@埼玉県エコ住まーとプロジェクトに採択(4月)A入居者対象のリフォームサービス積極展開(9月)Bアキュラシステムがグッドデザイン賞受賞(9月)C木造耐力壁ジャパンカップ大会史上初のトーナメント&総合同時優勝(10月)D長期優良エコ住宅・新OPTIS発売(10月)――などについて報告。

 2010年度上期販売棟数は850棟(通期見通し1,811棟、前年比109.8%増)、上期売上高は153億円(同316億円、同111.0%増)で、上期経常利益は前期比12億円増となり、通期でも過去最高となる見通しであると語った。

 ジャーブネットについては、「永代続く優良ビルダーを目指して」をスローガンに掲げ、様々な活動を展開した結果、リーディングプロジェクト13社の販売実績がこの1年間飛躍的に伸びたことを報告した。具体的事例として光建設(加盟前2棟⇒加盟後12棟)、大廣建設(同12棟⇒同25棟)、アート建工(同12棟⇒同35棟)、ロータリーハウス(同40棟⇒60棟)、オカザキホーム(同23棟⇒同105棟)を挙げた。また、山里建設のホームページアクセス数が加盟前年は月間平均400件だったのが、加盟後は850件と倍増したことも報告した。

 こうした成果を受け、新たに第2期リーディングプロジェクトとして5社を選定したことを報告した。

 また、アキュラホームの新スローガンを「品質も価格も、あきらめない。」と定め、「匠の技でむだを削る」(宮沢社長)テレビ CM も11月13日〜23日まで展開すると語った。

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 宮沢社長が、記者団を前にして語ったのは約1時間30分。一つひとつが面白いテーマだったが、グサリと記者の胸に響いたのは「顧客感動」を目指して宮沢社長を先頭に全役員、全社員がこの半年間で「家守り活動」を展開したことだった。2月末の今期中に6,900件を回る予定という。宮沢社長もすでに「全然アポなしで」52件回ったという。

 「上場する気など全くない」と語る宮沢社長だが、従業員数787名(2010年6月現在)を抱え、売上高309億円(平成22年2月期)の社長が平日に既存の顧客をアポなしで回るはずがないと思った。土曜・日曜を利用してのことだろうと思い、後で確認したらその通りだった。

 半年で土曜・日曜の日数は約48日間だ。 52件ということはほぼ毎日1件は訪問していることになる。周囲の人間は大変だろうが、社長自らが率先して顧客回りをやるのだから、社員が動かないはずはない。

 即効的な効果はともかく、眠っている既存顧客を掘り起こすのに大きな効果をあげるはずだし、あらゆるビジネスにつながるとも思った。

 記者は、この話を聞きながら取材フィールドであるマンションデベロッパーのことについて考えた。デベロッパーがこのような活動をしていたら、バブル崩壊だろうがリーマンショックだろうがびくともしなかったのではないかと思った。これまで破たんしたデベロッパーの中にはアキュラホームと比べものにならないほどの分譲実績をあげていた会社が山ほどある。

 「売りっぱなし」のマンション事業は、基本的には今でも変わらないのではないか。子会社で展開する「マンション管理業」はつい最近まで、あろうことか「専有部分はアンタッチャブル」という不文律がまかり通っていた。

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 宮沢社長の哲学や「日本の住まいを安くする」というミッションが末端の営業マンまで浸透している話を1つ挙げる。入社10年、営業経験8年のある社員は「僕は○○さんと競合しても負けない自信があります」と語った。

 「○○さん」とはある大手のハウスメーカーだ。この営業マンは、そのハウスメーカーと契約を結ぼうとしているお客さんの目を同社に向けさせることが出来るというのだ。単価はもちろんだが、品質、デザインなどに絶対的な自信がないとできないことだ。

 この話にも記者は納得した。マンションデベロッパーも同様だ。大手と同じ土俵で戦っては勝てないが、大手にはないきめ細かな「商品企画」を武器にすれば活路は見出せるはずだ。

(牧田 司 記者 2010年11月18日)