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 「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成

三井不動産レジデンシャルが見学会


「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」


 三井不動産レジデンシャルは8月20日、建築家・隈研吾氏がデザイン監修した「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」の完成見学会を報道陣向けに行った。

 東京メトロ東西線神楽坂駅に近接した赤城神社の再生プロジェクトで、赤城神社の建て替えと神社運営のための安定した収入を確保するため、期間70年の定期借地権付きマンション「パークコート神楽坂」を分譲するものだ。

 物件は、神楽坂駅から徒歩2分、新宿区赤城元町に位置する敷地面積約4,069平方b、延床面積約 9,975平方b(容積率200%、高さ制限20b)、6階建て全78戸(一般分譲69戸)の規模。専有面積は約43〜117平方b、価格は4,800万円台〜1億3,000万円台。坪単価は350万円。施工は熊谷組。現在、残りは1戸。

 マンションについては昨年、モデルルームを見学して記事にもしたので参照していただきたいが、外観にもっとも注目した。外壁は、神社の空間に溶け込むように4種のグレーを中心としたタイルを配し、神社に面した手すりにはL型のアルミをアトランダムに貼り付けているのが特徴だ。見る方向によってアルミの手すりは白く光ったり陰となったりえもいわれぬ趣がある。建物と自然が織りなす壁画のようだ。

 また、神社の建物によく用いられる「大和張り」を外観やエントランスなど随所に採用し、連子格子をモチーフにした「格子のスクリーン」や吹抜けの壁には縦ルーバーを配しているのが特徴。

 隈氏は赤城神社の近くに住んでおり、赤城神社が併設していた幼稚園にお孫さんが通っていたため送迎もされたそうだ。縁が深いことからデザインにはこだわりを見せ、自然素材を多用し神社とマンションの一体開発を完成させた。

 見学会で挨拶した赤城神社宮司の風山栄雄さんは「幼稚園を併設していたのが運営の大きな支えになってきたが、かつては500人もいた園児は3年前に閉園した時は30人に減っていた。建て替え費用の新規投資を行わず、神社の杜を復活させるためにこのような定期借地権の手法をとった」と語った。

 また三井不動産レジデンシャル都市開発二部開発室室長・新井博文氏は「寺院の建て替えではビルを併設した事例はあるが、神社とマンションを一体開発した事例は首都圏にはないのではないか」と話した。

 今回の建て替えは、地域の活性化もテーマになっており、「参集殿(ホール)」での結婚披露宴、伝統芸能、コンサート、シンポジウムなどのほか、「あかぎカフェ」、地域交流イベントなども行っていく。結婚披露宴は既に年末までの週末は予約でいっぱいだという。

10月23日(土)には「赤城神社竣工奉祝記念」として「新しい神社の杜を考える−神と人と建築 - 」をテーマに隈研吾氏と工芸家・作家の稲本正氏の対談が「参集殿」で18時 30分から行われる。

   
神社に面した外観(右は手すり)


大和張りを施したエントランス

隈氏のこだわり随所に 三井RD「パークコート神楽坂」(2009/11/5)

(牧田 司 記者 2010年8月20日)