地域のランドマーク 藤和不動産他「浅草タワー」
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藤和不動産(事業比率50%)・三菱倉庫(同30%)・三菱地所(同20%)の3社は6月17日、総戸数693戸、台東区初で最大規模の免震タワーマンション「浅草タワー」のプロジェクト発表会&懇親会を行った。 物件は、東京メトロ銀座線田原町駅から徒歩9分、またはつくばエクスプレス浅草駅から徒歩3分・東京メトロ銀座線浅草駅から徒歩13分、台東区西浅草三丁目に位置する地下2階地上37階建て全693戸の規模。6月19日から受け付ける1期(150戸)の専有面積は約36〜153平方b、価格は2,468万〜1億5,508万円(最多価格帯4,300万円台)。坪単価267万円。竣工予定は平成24年2月上旬。設計・施工はフジタ。デザイン監修 外観・共用部デザインは日建設計、日建ハウジングシステム、ランドスケープデザインは日建設計、ランドスケープ・プラス、共用部(ゲストスイート・ゲストルーム)インテリアデザインは乃村工藝社。 現地は、浅草ビューホテルから約100メートル。1979年竣工の「藤和西浅草コープ」(全105戸)の建て替えを核とした周辺敷地との共同化で実現した敷地規模(約6,300平方b)も戸数規模も台東区内最大の、区内初と思われる超高層免震タワーマンション。 東京都の「マンション環境性能表示」で満点の☆12個に断熱性のみ1個欠ける☆11個を獲得しているように、基本性能・居住性能に優れたマンションだ。総合設計制度により容積率の緩和を受け、空地率を約60%確保、3,000平方b超の公開空地は地域の防災拠点とし、三社祭などの際には施設を開放するなど、地域コミュニティ形成の拠点ともする。東京都認証保育園も設置する。 プランは全92タイプ、65平方b平均。現在まで約2,500件の問い合わせがあり、約900件の来場がある。
◇ ◆ ◇ 築30年強で建て替えが可能となったのは、敷地南側に広大な敷地があり、周辺13区画の敷地の共同化が実現したためだ。その経緯を紹介する。この間の経緯について、事業を推進してきた藤和不動産首都圏事業本部企画第一部第二課長・高坂雅之氏は「悲しい歴史を持っている」と語ったように、複雑な問題を抱え、それを一つひとつクリアしてきた関係者の熱意を感じさせるマンションだ。 「藤和西浅草コープ」は設備などが老朽化し、旧耐震であるうえ、東京都の建築安全条例などの基準では従前の建物が建てられないという問題を抱えていた。 一方、 UR 都市機構は2002年、同マンションの南側に位置する敷地約3,000平方bを取得、同マンション管理組合に共同事業を提案したが、条件面で折り合わず、URは2006年、UR所有の土地をモリモトに売却した。 これにより、同マンション管理組合は建て替え推進を決議、藤和不動産・フジタ・モリモトは共同建て替えの協議を開始。周辺の狭小敷地権利者との等価交換又は買収契約が完了。2009年2月、総合設計制度の許可を取得した。 ところが、2008年11月にモリモトが民事再生手続きに入ったため、モリモトに代わり三菱倉庫と三菱地所が2009年10月に共同事業主に決定した。 このマンションのプロジェクト発表会の前に、記者はモリモトが企画し、大京が買取再販し圧倒的人気を呼んでいる「セルフィスタ渋谷」を見学している。モリモトの関係者らのことを思うと心が痛む。 懇親会では、藤和不動産の瀬川修副社長は、「街の防災拠点ともなり、地域の伝統文化を継承する、地域コミュニティを形成するという3本の柱を盛り込んだマンション」と語った。
◇ ◆ ◇ このマンションの建設については、マンションが建設されると景観が害されるとして浅草寺や住民が計画を許可した東京都などに対して許可の取り消しを求める訴訟を起こしている。 この訴訟でいえるのは、浅草は京都や鎌倉とは異なることだ。浅草寺は歴史的建造物かも知れないが、この街は浅草ロックにリオのカーニバルもある、いわばごった煮、何でもありの街だ。超高層タワーが周囲の景観を損ねるとは全然思えない。 |
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(牧田 司 記者 2010年6月18日) |