白、白、白…ドアの把手も 女性に圧倒的人気 大京「セルフィスタ渋谷」 「セルフィスタ渋谷」 |
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昨日(6月17日)見学した大京の坪単価390万円の高単価コンパクト買取・再販マンション「セルフィスタ渋谷」が極めて好調な売れ行きを見せている。渋谷と代官山に近い立地が人気の要因だが、単身女性の心をとらえたのは真っ白の専有部のデザインだった。 物件は、山手線渋谷駅から徒歩7分、又は東急東横線代官山駅から徒歩12分、渋谷区桜丘町に位置する10階建て全66戸の規模。専有面積は約26〜91平方b、中心価格帯は4000万円台の前半。坪単価は390万円。建物は昨年12月に完成済み。施工は北野建設。設計はイズム建築計画。 モリモトが企画・販売を計画していた物件だが、同社の民事再生申請を受けて大京が買い取り・再販しているものだ。今年3月末から販売を開始しており、残りは40平方b台の2戸のみ。1億円超の住戸も契約済みだ。驚くべき売れ行きとしか言いようがない。 ◇ ◆ ◇ 内廊下の白の床とコンクリート打ち放しの壁、白の玄関ドアからして確かに予感はあった。そして、玄関ドアを開けたとたん、白一色の世界が広がった。床も壁も天井も、キッチンの天板もレンジフードもトイレもバスも白、白、白…。ご丁寧にドアや収納扉の把手までも特注品の白で統一されていた。 記者はとっさに判断した。女性に例えるならば、一点の穢れもない乙女のようなマンションだと。しかし、すぐ改めた。その白は、どんな色にも混じる薄っぺらの白ではなかった。空の青にも海の青にも染まず、凛とした強い意志を表明する白鳥のような白だった。 ◇ ◆ ◇ モリモトが企画した物件で、渋谷にも代官山にも近いことからこのようなユニークなデザインになったのだろうが、このような白一色のカラーリングを採用したマンションは初めて見た。 これに似たマンションでは、かつて小田急不動産が分譲してほとんど即日完売したのを記憶している。購入者は、ゼネコンなど建築関係者が多かったと聞いた。共用部分はモンドリアンの絵画を思わせるもので、住戸内は白が基調だった。しかし、ドアの把手まで白ではなかったはずだ。 大京の販売担当者によると、実需の6割は単身女性とのことで、同業の大手デベロッパー女性社員も何人も購入しているとのことだった。 ◇ ◆ ◇ 設計したイズム建築計画の福田馨氏は、1971年生まれ。武蔵野美術大学造形学部を卒業後、黒川紀章建築都市設計事務所に入社。2002年、イズム建築計画設立に参画、06年から主宰を務めている。福田氏は「住戸内の壁床はもちろん、全ての部屋の床はホワイトですが、最も重要なのは床材の製品的な質感です。フローリングのような柔らかい材料を避け、より製品として高質感が増すよう、60センチ角の光沢大判タイル敷きとしています」と説明書で語っている。
◇ ◆ ◇ このような白一色のマンションを女性はどう評価するのか。「白」を女性に例えると、どのようなイメージかを聞いた。 20歳代の若い独身女性は即座に「純潔」と語った。30歳代の大台に乗ったと思われるデベロッパーの広報担当者は「清らか、清純」と、少し間をおいて応えた。この女性より1周りは先輩と思われる上司の女性は「還って怖い」と、異なる反応を見せた。同世代の女性は「何色にも染まっていない純粋な人」と答えた。 記者は、デベロッパーの女性上司の意見に賛成だ。このようなマンションに惚れ込む女性は、何色にも染まるようなやわな女性ではないような気がしてならない。男性にとっては「怖い」人のようにも思える。 考えてみると、絵具の白は、他の色を際立たせたり薄めたりするが、決して他の色と交じり合って別の色にはならない。記者は、女性が一番きれいに見えるのは喪服だと思っている。
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(牧田 司 記者 2010年6月18日) |