長谷工「U's−style」初採用の「ザ・ハウス港北綱島」 「ザ・ハウス港北綱島」完成予想図 |
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長谷工コーポレーション(事業比率50%)と住友林業(同50%)のJVマンション「ザ・ハウス港北綱島」を見学した。見学の目的は、住友林業のマンションがどのようなものであるのかを確認するためだった。同社のマンションについては、昨年、神奈川県で分譲されたように記憶しているが、本格的なマンション分譲はこの物件が最初だからだ。 物件は、東急東横線綱島駅から徒歩21分、または、綱島駅からバス7分徒歩1分、横浜市港北区樽町3丁目の工業地域に位置する7階建て全487戸の規模。専有面積は約71〜100平方b、現在分譲中の住戸の価格は3,718万〜5,388万円(最多価格帯4,600万円台)、坪単価182万円。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は平成22年8月末。販売代理は長谷工アーベスト。 結論から先に言えば、なるほど、これが住友林業のマンションか≠ニ思えるような独自の商品企画が盛り込まれているとは思えなかった。おそらく長谷工コーポレーションが主導したものに違いない。 では、全てが従来の長谷工仕様かといえば、そうではない。長谷工がこれまでの実績を踏まえ、独自に開発した設備仕様「U's−style (ユーズ・スタイル)」が首都圏のマンションとして初めて採用されていたからだ。 この「U's−style (ユーズ・スタイル)」については、同社は4月30日付けでニュースリリースとして発表しているが、記者は見落としていて知らなかった。モデルルームを見て初めて知った。 一つひとつの設備仕様は、同業他社がすでに採用しているものも多かったが、初めて見るものも少なくなかった。 もっとも驚いたのが、トイレの「シャットスルードア」だった。ドアを開閉した時、他の居室ドアと異なり、重くてカチッと閉まったからだ。よく見ると、ドアの下方部には通気口が付いていた。説明書には「トイレのエチケットを守るため、防音性の高い扉を採用。通気性を保ちながらもアルミサッシ並みの防音性能(T−1等級)を実現しています」と書かれていた。この説明文で全てが氷解した。女性がトイレの水を流しながら用足ししなくても済むようにしたスグレモノだ。男性は理解しがたいかもしれないが、女性は用足しに極めて神経を使うことを記者はようやくこの歳になって分かってきた。長谷工と扉メーカーの技術力の高さを実感した。 このほか、かがまなくてもコンセントの抜き差しができる「あけたらコンセント」、閉めたままでも外の景色が見えやすい「ブラック網戸」、洗濯用品の収納や仮干しができる「スルットランドリー」、ミラー鏡を標準装備した「スッキリシューズボックス」、玄関で全室の照明を消灯できる「全室消灯スイッチ」など15アイテムが採用されていた。 もう一つは、思い切った生活提案だ。「aルーム」と呼ばれるもので、従来のリビングや居室の概念を取り払い、入居者の思い思いの空間利用ができるように提案したものだ。(これは従来からあるαルームに似たもの) 分譲は既に2月から始まっており、これまでに77戸が販売済みだ。 ◇ ◆ ◇ 長谷工が「U's−style」を首都圏で初めて採用したマンションが住友林業の物件であることにヒントがあるような気がする。長谷工が住林に強く働きかけたに違いない。ただ、「U's−style」そのものは、もう少し地位の高いエリアでこそ需要喚起ができると思っているのだが、どうだろう。 住友林業が今後、どのようなマンション事業を展開するのか分からないが、他の積水ハウス、大和ハウス工業、旭化成ホームズなどのように本格的に事業参入したら大手デベロッパーにとって脅威な存在になりそうだ。次は住友林業独自の商品企画のマンションを見学したい。
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(牧田 司 記者 2010年6月15日) |