マンパワー最大限に引き出し、分かりやすい経営貫く 旭化成ホームズ 平居正仁新社長が就任会見 左から平居社長、波多野会長 |
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旭化成ホームズは4月1日、同日付で取締役会長に就任した波多野信吾・前取締役社長と代表取締役社長に就任した平居正仁・前専務取締役の就任会見を行った。 波多野会長は、「2期4年間社長を務めたが、N社(ニチアス)の回収問題とリーマンショックの2つの大きなピンチがあった。回収問題では約38,000件のうち残りは約2,500件となった。今期中に全て回収できるルメドがたった。リーマンショックでは売上げは減少したが、コスト削減も実現でき、前期は増益となる見通しだ。双方のピンチを経験してブランド力もプライドも高まったように思う。平居くんとは二人三脚でやってきた。いい形で引き継ぐことができた」と語った。 平居新社長は、「(波多野会長の)右腕か右足か分かりませんが、いい形で引き渡していただき、基本路線は継承していくし、基本的にはこれまで脈々と受け継がれている旭化成ホームズらしさを貫く」とし、「これはいつも社員に語っていることで、図々しいのですが」と前置きした後、「『あそこの人たちは素晴らしい』といわれるような人もチームも成長し続ける風土の構築を目指す。事業の方向性としては戸建て事業はオンリー・ワンかつナンバー 1、3階建てはどこにも負けない、2世帯住宅ならどこにも負けない、都市再生もどこにも負けない、建替えも負けない、合意形成ならうちに任せろ、ヘーベリアンのことはうちに任せろなどオンリー・ワンの確立を目指す」などと抱負を述べた。 ◇ ◆ ◇ 記者は平居新社長の就任会見を聞きながら「ずいぶん図々しいことを仰る」と思ったが、「ひょっとしたらその通りになるかも」とも思った。RBA野球を通じて平居氏が行ってきたことを見てきたからだ。 住宅・不動産業界のRBA野球大会は21年の歴史があり、大手住宅メーカー、大手デベロッパーなど毎年60チーム前後が参加している。同社チームも初回から参加しているが、当初の数年間は強豪チームに歯が立たなかった。ところが平居氏が人事担当になってから、劇的にチームが変わった。平成9年に初優勝を飾ると、その後の13年間の間に9度優勝するなど、自他ともに認める最強軍団になった。個々の能力もさることながら、チームプレーに徹しているのが同社チームの特徴だ。 各選手は野球だけが上手というわけではない。ほとんどが全国レベルのトップクラスの営業マンだ。仕事と野球を両立させている。平居社長はチームの育ての親でもある。かといって、自分から采配に口出しなどしたことがない。いつも笑顔で「いいね、いいね」としか言わない。 記者は、どうして仕事と野球の両立ができるよう育て上げられたのかについて平居社長に質問した。 平居社長は、「野球選手はスランプに陥ることもあるが、どうしたらスランプから脱することができるかもよく知っている。毎日練習する意味も価値もよく分かっている。これは仕事にも通じるものがあるし、生かせる。一つのことを一生懸命やる人はやがて報われるものです。私は野球がやりたい選手たちにやりやすくサポートしているに過ぎない」と語った。 ◇ ◆ ◇ 同社が「ひょっとしたら住宅事業でナンバー 1 になれるかも」と考えたのは、このような平居社長の人の育て方に注目したからだ。マンパワーを最大限に引き出し、分かりやすい経営方針を貫く経営者だ。他社にとって脅威だろう。 平居社長は「目先のことは考えていませんが、5年後の2015年はちゃんと見えている。お客さまの情報をフォーマット化しビジネスモデルとするのがヒント」とも語った。 ◇ ◆ ◇ 記者団から趣味とか座右の銘について問われた平居社長の答えが面白い。平居社長は「座右の銘? さて…。私は、難しいことは嫌い。ビジネス書などほとんど読まない。『鬼平犯科帳』のような格好いい男にあこがれている。趣味はいろいろ、最近は下手なゴルフもかみさんと始めた」 |
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(牧田 司 記者 2010年4月1日) |