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とんでもない質問が飛んだ管理協の記者懇親会

 高層住宅管理業協会(理事長:黒住昌昭大京アステージ会長)は3月17日、定例の理事会と記者懇親会を行った。

 記者懇親会で挨拶した黒住理事長は、次期の重要課題として、@法令の遵守A加速する2つの老い(入居者の高齢化と建物の老朽化)≠ヨの対応B地域との共生C管理業務の質の向上D環境問題への取り組み――の5項目を上げた。年度末に向けまとめる方針だ。

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 記者も意地悪記者だと思っているが、相当な記者もいる。次のような質問が飛んだ。

 「専有部サービスは、組合単位で契約しているところもあれば、個別契約のところもある。組合単位だと『こんなサービスいらない』という人もいる。そのような人も含め月額300円とはいえ組合が徴収するのはいかがなものか。強制的に金額を徴収するのは違法という考えの法律家もいる」と。

 さらに次のような質問もあった。「専有部に立ち入る従業員が罪を犯さないとも限らない。安全性はどう担保するのか」「自治会・町内会費を管理組合で一括して徴収するのは違法の可能性がある」払うのはどうか」と。

 これについて、黒住理事長は「概念的には優良なサービスと無料のサービスに分けるべき」「貴重なご意見」などと答えるにとどめた。

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 質問は、それぞれ一理はあると記者は感じた。しかし、専有部へのサービスの目的は「安心・安全・快適」だ。これを望まない入居者がいても不思議でない。そのようなごく少数派のために専有部サービスの導入をためらってはならない。組合単位で契約することも違法ではないと思う。支払いを拒否した人が訴えれば、どうなるかは分からない。区分所有法にはそのような規定はない。

 標準装備にしても同様だ。標準装備にしたから無料というわけではない。きちんとサービス料として管理組合は支払っているはずだからだ。そもそも、そのようなサービスを受けたくない人は、共同生活ができない人だからマンションなど買わないほうがいい。

 専有部サービスを行うスタッフの安全性を問う質問は、悪意としか思えない。郵便配達人を装って人を殺す世の中だから、何が起きるか分からないが、専有部サービスを行うスタッフの人格を疑うのはいかがなものか。われわれ人間は世のため人のため働いているのだ。スタッフを呼び入れるのに危険を感じる人はガードマンでも雇えばいい。そこまで疑い深い人は街中など歩けないのではないか。

 町会・自治会の徴収もそうだ。これらの組織が国家権力を補完する役割を果たしたことはあるが、地域のコミュニティ形成に貢献している側面もある。社会規範として定着している組織、行事などは違法にはならない。組合が自治会費や町会を徴収するのは何ら問題ない。自治会や町会に入らない人が増えているのは悲しいことだ。(支払いを拒否したからといって、制裁を加えるのはまた別問題)

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 記者は、このような質問が飛び出す背景には区分所有法の不備があると思っている。同法第6条には(区分所有者の権利義務等)として、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と規定しているのみだ。

 「区分所有者の共同の利益」とは何かについては、他の条項でも具体的に書かれていない。この当たりを具体的に定めることが必要だと感じている。 法を改正して、マンション居住者は「安心・安全・快適」なマンションに住む権利があるなどと謳って欲しい。

(牧田 司 記者 2010年3月18日)