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見える化%O底すれば売れる

外断熱のナイス「アルシア千歳船橋」


「アルシア千歳船橋」完成予想図


 ナイスが3月中旬に分譲開始する「アルシア千歳船橋」を見学した。

 物件は、小田急線千歳船橋駅から徒歩2分、世田谷区船橋1丁目に位置する7階建て全48戸の規模。専有面積は約32〜71平方b、価格は未定だ。完成予定は12月上旬。設計・監理は自由建築設計事務所、施工は鉄建建設。

 最大の特徴は、駅近の強耐震・外断熱工法コンパクトマンションということだ。駅近のコンパクトマンションならばこれまでもたくさん供給されてきた。強耐震工法もグレードの高いマンションでは珍しくない。しかし、外断熱工法のコンパクトマンションとなると、当欄でも紹介した明豊エンタープライズの「シェルゼ雷門」があるぐらいだ。もちろん世田谷区で外断熱のコンパクトマンションが分譲されるのは初めてだ。

 これだけで売れる条件が揃っているのだが、問題はやはり価格だ。記者の相場観からすれば、2年前なら限りなく坪400万円に近かったと考える。しかし、現在の市場を考慮すると350万円が妥当なラインだと考える。

 この点を、この物件の販売責任者、同社首都圏営業部課長・面條晃広氏に聞いたところ「現段階では価格は公表していないが、いい線。あまり宣伝していない段階だが、問い合わせはチラシ、看板、ネットなどから毎日のようにあり、とても前評判はいい」とのことだった。

 ただ、「コンパクトマンションの特徴でもあるエリア性のないことが、逆風にもなっている」と語る。つまり、近隣エリアの他社物件はもちろん、広域エリアのコンパクトマンションとも競合し、坪200〜250万円で投げ売り≠ウれている売れ残り物件と比較されるのが辛い材料というのだ。

 しかし、記者は、この物件の特性を周知徹底できれば早期完売は可能と見る。仮に坪350万円と仮定すると、中心タイプの39〜45平方bで4000万円台の前半から中盤になり、コンパクトタイプの需要層からすればやや高いかもしれないが、外断熱の快適性をユーザーに説得できれば、価格競争に巻き込まれないと見る。

 この物件には、もう一つ強調材料がある。プランがいいことだ。居住面積を40平方b前後確保し、キッチン、洗面室、浴室などもしっかり造り込みをしていることだ。

 また、@トイレの照明を天井ではなく壁面に取り付けるA1パック24個入りのトイレットペーパーを収納できる戸棚を設置B三面鏡にはコップの水切りができる棚を設置Cヌックカウンターの設置――など男性ではまず考えられない工夫を凝らしている。これは同社の女性モニター「ヴィニーチェクラブ」の声を反映させたものだ。

 白を基調にしたデザイン、引き戸を多用した機能性などもなるほどと思わせるものだ。

◇      ◆     ◇

 この物件が売れるかどうかは、結局は外断熱の快適性をどう見える化≠キるかにかかっているように思う。記者は、これまで康和地所や明豊エンタープライズの外断熱などたくさん取材し、体験宿泊もしてそのよさはよく分かっている。

 そして何より、外気温が零下30度のモンゴルに3度も行き、外断熱のホテルに宿泊している。ウオッカをしこたま飲み、シャツ1枚で朝までソファで寝ていたこともある。居室はもちろん、廊下やその他の共用部分も全然寒くないのに驚いた。日本のホテルなどとは比べものにならないほど快適だった。

 ゲルもそうだった。フェルトですっぽり屋内を包み込んでいるから、ストーブ一つでも十分温かかった。日本の家屋など問題にならない。

 快適性をお金に換算するのは難しいかもしれないが、夏涼しく冬暖かく住める価値は相当額にのぼるはずだ。少なくとも光熱費は年間数万円安く済むだろう。

 面條氏は「価格ありきの戦争には巻き込まれない」ときっぱり語った。ぜひとも見える化を徹底させて、事業を成功させて欲しい。

(牧田 司 記者 2月13日)