億ションの歴史に新たなページ刻む 三菱地所「麻布台パークハウス」 「麻布台パークハウス」完成予想図 |
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久々に本格的な正統派億ションのモデルルームを見学した。三菱地所 が10月31日からモデルルームをオープンした「麻布台パークハウス」だ。 物件は、東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅から徒歩6分、港区麻布台2丁目に位置する地下6階地上11階建て全165戸の規模。専有面積は約45〜325平方b(販売済住戸含む)、価格は6,500万〜8億4,000万円(販売済住戸含む)。設計監修はペリ・クラーク・ペリ・アーキテクツ(PCPA)、設計・監理は三菱地所設計・竹中工務店、施工は竹中工務店。竣工予定は2010年12月下旬。東京アメリカンクラブの再開発事業の一環として建設されるもので、同クラブの施設と併設される期間51年の定期借地権付きだ。 記者は、これまで100棟を下らない億ションを見学してきた。全体的なレベルの高い億ションとして記者は真っ先に三井不動産「麻布霞町パークマンション」(92戸)と、同社と三井不動産レジデンシャル共同の定借マンション「広尾ガーデンフォレスト」(670戸)を上げる。金額やスケール、設備仕様など個別の物件では、今回の「麻布台」を越える物件はたくさんある。 1戸当たりの金額では、もっとも高かったのは、バブル期に大建ドムスが南麻布で分譲した44億円だろうと思う。建具・面材はチーク材やマホガニー材で、金具などは浴室の石鹸入れを含め全てゴールドだった。バブル期にはスーパー億ション≠ニ呼ばれたように、10億円を超えないと本物の億ションではなかった。バス、トイレがそれぞれ2〜3カ所付いていたし、メイドルーム付きというのも珍しくなかった。 前置きが長くなったが、今回の「麻布台」は、これまで見た億ションと比べトップクラスだと思うが、このマンションにしかないものがたくさんある。 最大の特徴は、国際性豊かなのマンションだということだ。管理面では日英バイリンガル対応のコンシェルジュが常駐するという。また併設の東京アメリカンクラブは会員数約3.500人の会員制クラブで、米国人が約3分の1、日本人が3分の1、その他の国が3分の1という。 モデルルームの設備仕様もきわめて高い。「当社の一番上のクラス。PCPA、三菱地所設計と竹中のコラボで、盛り込めるもの全てを盛り込んだ」と担当者が語るように、天然石やチーク、ブビンガ、マホガニーなど高級材がたくさん採用されている。 260平方bのモデルルームの壁は布張りか布団張り仕上げだった(オプション仕様)。18.3畳大のバス・ドレッシングルームが設けられていたのには驚いたが、国際クラスのホテルスイートはこのようなものかもしれない。 一般分譲に先駆けアメリカンクラブ会員優先として56戸が分譲されており、好調に推移しているそうだ。 ◇ ◆ ◇ このような時期だからすぐ売れるという物件ではないが、間違いなくわが国の億ションの歴史に新たなページを刻んだ。価格的にも決して高いとは思わない。8億4,000万円の住戸だって、定借期間51年で割れば年間約1,600万円だ。外国人居住者の中には年間2,000万円、3,000万円の住居費をかける人も少なくないだろうから、安い買いものかもしれない。 日本人の富裕層にとっては、ひょっとしたら「英語を話せる」というのが高いハードルになりはしないかと余計な心配をしてしまうが、これからの世の中、英語が話せないと国際ビジネスマンとして通用しないだろう。 |
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(牧田 司 記者 11月6日) |