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隈氏のこだわり随所に 三井不動産RD「パークコート神楽坂」


モデルルーム キッチン
 

 昨日(4日)、三井不動産が「パークコート神楽坂」を販売開始すると発表した。ニュースリリースには、隈研吾氏が総合監修するとかかれていたので、早速モデルルームを見学した。やはり実際に見ないと、どのようなものか分からないからだ。物件概要は昨日も書いたので省略する。ここでは隈氏のデザインを中心に紹介する。

 モデルルームを見学して、やはり唸ってしまった。

 まず外観。赤坂神社の境内の雰囲気になじむように、縦ラインのモノトーンのタイルが用いられており、アクセントとしてアルミ板を交互に重ね合わせた「大和張り」手法が取り入れられている。もちろん模型でしか見られないが、タイルは主張しているようで景観に溶け込んでいるようでもあった。

 アルミの手すりにもこだわりが見られる。断面がL型とV型のアルミの板を表にしたり裏にしたりして様々な角度で手摺部分に貼り付け、しかも板と板の間隔が狭められたり広げられたりしていた。まさかアトランダムに貼り付けたわけはなく、職人にとっては大変な作業だとおもった。

 アルミ板をこのように配置することで、光のあたり具合や見る角度で表情が異なってくる。それは白でもありグレーでもあり黒でもある。その濃淡の変化がとても面白い。

 もう一つ、うなってしまったのは玄関ドアや玄関ホール、リビングに用いられている格子のドアだ。連子格子の一種だが、一般的な格子とは全く異なる。閉ざされているようで開放されている、不思議な空間を演出している。

 さらに、システムキッチンにも工夫が凝らされていた。天板も他の面材、壁も「黒」なのだが、普通の黒とは異なり、光のあたり具合で濃い藍色にも見えた。「玄(くろ)」をテーマにしたものだそうで、居室ドアや洗面室は「白」で統一している。

 オプションの絹のカーテンは、5回も染め抜いたものだそうだ。

 期間70年の定期借地権付きで、坪単価350万円は決して安くないが、ここまでこだわって造ってくれるのかという心が伝わってくるマンションだ。現地の販売担当者も「平日でもお客さんがたくさんこられる。反応はすこぶるいい」と自信を見せていた。

◇     ◆     ◇

 パンフレットに同封されていたタウンガイド冊子には、隈氏も紹介されており、自ら神楽坂に住んでいることを語っている。神楽坂の住人として、新しい神社にできる祈りの空間、祭りの空間、生活空間、文化空間などの「間」をデザインしたという。

 また、この冊子には、女優・木暮美千代さんのお姉さんで、「旅館 和可菜」の女将、和田敏子さんも登場して「なにもしない、そこにある心地よさ」について語っている。

 この「和可菜」については、黒川鐘信氏が著した「神楽坂ホン書き旅館」(新潮文庫)を是非とも読んでいただきたい。かつての名だたる作家、脚本書きが生き生きと描かれている。


玄関 モデルルーム

(牧田 司 記者 11月5日)