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一級品≠フ住友不動産の再開発タワーマンション

「サザンスカイタワーレジデンス」


「サザンスカイタワーレジデンス」完成予想図

 住友不動産が今秋に分譲開始する一級品≠フ再開発タワーマンション「サザンスカイタワーレジデンス」を紹介しよう。

 物件は、中央本線八王子駅から徒歩1分、八王子市子安町四丁目に位置する41階建て全390戸(地権者用19戸含む)の規模。専有面積は約60〜102平方b、価格は未定だが、坪単価は230万円程度になる模様だ。竣工予定は平成22年9月末。設計は大林組、施工は大林組他2社JV。

 ご存知の方も多いだろうが、八王子駅北口と南口では対照的な街並みを形成していた。北口一帯は商業エリアでそごう、東急スクエア、京王プラザホテルなど様々な都市施設が揃っているが、このマンションが建設中の駅南口はターミナルも貧弱で、小規模の店舗や飲食店などが建ち並び、雑多な街並みを形成していた。その後背地は住宅街だ。

 南口の再開発計画は20年も前から計画されていたが、バブル崩壊後の紆余曲折をへてようやく昨年に着工された。正式名称は「八王子駅南口地区市街地再開発事業」で、施行面積は約2.0ヘクタール、施設延べ床面積は約94,000平方b。総事業費は約358億円。マンションのほか、店舗、業務、市役所施設、市民ホール、駐車場などから構成される。交通広場も整備される。施設と駅はペディストリアンデッキで結ばれるため、そごう、東急スクエア、ホテルなどが徒歩1〜2分圏になり、街並みが一変する。容積率は600%から750%に緩和されている。

 このマンションの最大の特徴はアクセスのよさと眺望のよさであるのは言うまでもない。住戸は9階以上だが、360度周囲に遮るものがなく、南西方向には丹沢はもちろん富士山も眺められる。階数は多摩エリア最高峰。 

 しかし、特筆すべきなのは基本性能、設備仕様、居住性の高さだろう。記者はこれまでたくさん市街地再開発マンションを見てきたが、基本性能が劣ったり設備仕様がいま一つだったり、居住性能が劣ったりしたものが少なくなかった。それぞれ地権者などの思惑が働き、権利調整に時間が取られ、それがマンションの質にも影響を与えていた。

 しかし、このマンションはトップレベルと見た。地盤が固いため建物はベタ基礎が可能になっており、建物は超高層でありながら板状で、全ての住戸がワイドスパンであるのが特徴だ。南向き62平方b台の住戸で間口は約7.7メートルだ。78平方bの標準的な住戸は約9.1メートルもある。40〜41階の100平方b台の特殊住戸はほとんど10メートル以上だ。

 ノーブルコリドーと呼ばれる外廊下側に天井までの格子を取り付けることで、外廊下でありながら内廊下方式のような雰囲気を持たせているのもいい。また、150ミリの乾式耐火遮音壁、スラブ厚280ミリの中空プレキャスト板合成スラブを採用することで遮音性を高めているという。

 設備仕様レベルも高い。例えばエレベータ。13人乗りが4基、26人乗りが1基設置されるが、分速はそれぞれ150メートル、210メートルだ。速いだけなら分速数百メートルのビルは少なくないが、通常のマンションは100メートル前後だから、かなり高速のエレベータが採用されている。フローリング材も堅牢で安全なものが採用されているという。

 価格も記者が予想したとおりだった。坪単価250万円では売れないだろうし230万円ぐらいではないかと踏んでいたが、その通りになる模様だ。9階から最上階まで単価は200万円ぐらいしか違わないが、階数によって眺望が変わらないためそのような値づけをおこなうという。これも良心的だ。

      
「サザンスカイタワーレジデンス」完成予想図

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 以上のことから、申込が殺到しそうな予感もするのだが、難問が一つある。八王子の行政イメージがいま一つで、他のエリアから集客が出来ないのではという懸念だ。

 間違っていたら謝るしかないのだが、どうも八王子は保守的で新住民に冷たいような気がする。記者は多摩市民だが、隣接する八王子市には絶対住みたくない。もう30年も昔だが、八王子市は他の市町に先駆けてマンションお断り≠ニいわんばかりの居住面積規制を指導要綱で行ったことをいまでも忘れない。

 現地販売担当者も「このマンションを待ち望んでいらっしゃた市民の方は多いのですが、多摩市居住の方も立川居住の方も来場は少ない。どうも八王子に背を向けていらっしゃるようだ」と語った。これからの都市間競争に勝ち残るためにも、行政は住んでみたい街≠ノランクされるような街づくり、行政サービスを行うべきだろう。


エントランスホール(完成予想図)

(牧田 司 記者 8月25日)