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水上勉邸跡地に建つ
菱重エステート「ディアクオーレ成城」


「ディアクオーレ成城」完成予想図

 菱重エステートが分譲中の文豪・水上勉邸跡地に建つ「ディアクオーレ成城」を見学した。

 物件は、小田急線成城学園前駅から徒歩3分、世田谷区成城6丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て26戸の規模で、現在分譲中(9戸)の専有面積は約60〜109平方b、価格は7,400万〜20,300万円(最多価格帯9.000万円台)。建物は昨年12月に竣工済み。入居予定は3月下旬。販売代理は野村不動産アーバンネット。設計は日建ハウジングシステム、施工は東急建設。

 現地は、敷地東側の公道から約37メートルの奥まったところに位置し、駐車場の出入り口となる西側の公道からも約 35 メートル離れたところにある。

 プランはAからLタイプまで12タイプあり、離れのような洋室付きや1LDK+DENのコンパクトタイプもある。各住戸とも独立性が高いのが特徴だ。建具・面材・家具類は全て突き板仕様で、玄関・トイレなども大理石が敷き詰められている。

◇    ◆    ◇

 このマンションの敷地が水上勉邸跡地なのは現地を訪ねるまで知らなかった。水上勉は記者がもっとも好きな作家の1人だ。30〜40作は読んだだろうか。自らが苦労したことがあるせいだろう。社会的弱者に光を当て、権威や権力を痛切に批判したり皮肉ったりした。お寺の小僧として出され、修行の厳しさに耐えられず出奔したことや、事業に失敗したこと、身体障害者の娘を抱えていたことなど、自らの生き様も赤裸々に綴った作家でもあった。

 マンションには水上勉が住んだその面影がないのは残念だし、水上勉と億ションはそぐわないという気もするが、レベルの高いマンションとして後世に残ることになったことをよしとしよう。

(牧田 司 記者 1月20日)