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良好な景観形成に向けた提言 近く発表 国交省


28日開かれた「良好な景観形成のための建築のあり方検討委員会」

 

 国土交通省は3月28日、6回目の「良好な景観形成のための建築のあり方検討委員会」(山本理顕座長)を開き、「(仮称)建築等を通じた良好な景観形成に向けた提言(案)」をまとめた。この案をもとに、近く提言として行政、一般国民に発信する。

 案の中で山本座長は、「景観法前面施行から3年を迎えようとする今、改めて建築の視点から景観問題を見つめ直し、国のリーダーシップのもとで建築設計者に向けたメッセージを発信すること、また国及び地方公共団体の施策に働きかけることを目的として、この提言を作成した。

 この提言が景観形成に関わるさまざまな関係者の議論を活発化させ、各々の建築設計者のみちしるべとなり、国及び地方公共団体の具体的施策に反映されることを大いに期待する」と述べている。

 提言では、良好な建築景観の形成に必要な視点として、@良好な建築景観に関する共通言語の検討・促進A良好な建築景観を実現するためのデザイン調整システムの充実B建築設計者が果たすべき役割の再認識をあげ、公共建築におけるモデル的取り組みの推進、専門家が良好な景観形成に向けた活動を行う場づくりなどを提案している。

委員会で出された主な意見

 ・建築家といっても、歯車の一つにしか過ぎない側面もある。建築家個人に役割を求められても限界もある。ローカルな職能団体の役割が大きい

 ・ 国交省が強いイニシアティブを持って、メッセージを発信すべき。姉歯問題に象徴されるように、ある意味では現在の建築家、建築団体はものを言わないしだらしない

 ・ われわれは市民と直接話す機会がない。いつも行政を通じて間接的にしか聞けない

 ・行政が行う事業の線引きの中で内と外での対応が全く異なる

 ・公共団体から設計を依頼されても、単体だけというケースが多い。ランドスケープ、照明なども含めた総合的な建築をするべき

 ・タウンアーキテクトのような市民に開かれたものを構築すべき

 ・建築景観に関する共通言語を持つことが重要。現在の規制は色彩規制などがほとんどで、定量的になっている。基準を満たせばなんでもクリアできるし、逆に基準がないと何でもできてしまう

 出席者は山本理顕委員(座長、横浜国立大学教授)、岡部明子委員(建築家、千葉大学准教授)、木下庸子委員(建築家、工学院大学教授)、工藤和美委員(建築家、東洋大学教授)、布野修司委員(滋賀県立大学教授)、宗田好史委員(京都府立大学准教授)、蔀健夫委員(神奈川県庁)、荒牧澄多委員(川越市役所)。事務局は国交省住宅局市街地建築課 都市・地域整備局都市計画課景観室

 

(牧田 司記者 3月31日)

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