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完成度高い公団建て替え旭化成「アトラス国領」


完成した「アトラス国領」エントランス部分

 

 旭化成ホームズは3月18日、このほど完成した公団建て替えマンション「アトラス国領」の記者発表会を行った。

 物件は、京王線国領駅から徒歩6分、調布市国領町8丁目に位置する4階建て〜14階建て全7棟320戸(地権者用114戸)。専有面積は約57〜107平方b。坪単価は217万円。設計・監理を担当したのは「同潤会江戸川アパートメント」と同じ NEXT ARCHITECT & ASSOCIATES 。施工は安藤建設。

 従前の建物は昭和39年、当時の日本住宅公団が分譲した「国領住宅」で、4階建て7棟144戸の規模で、専有面積は平均約45平方b。「一団地の住宅施設」(都市計画法11条)規制のため建ぺい率20%、容積率70%に制限ざれていたが、平成13年に国土交通省から「一団地の住宅施設の見直し」運用指針によって建ぺい率60%、容積率200%が可能となり、同16年に都市計画決定された。同17年に建て替え決議がなされ、同18年に着工されていた。変換率は125%だった。

    
         高層棟から中庭を望む                    敷地中央のケヤキの大木

    秀逸ランドスケープデザイン 実績積み上げ他社リード

 待ちに待った見学会だった。記者は昨年の今ごろ、モデルルームを見学し、単価は相場なみで、設備仕様も水準以上だと思い、必ず人気になると記事にした。そして何より驚いたのは、ランドスケープデザインが優れていたことだった。 

 今回、完成した建物を見学して、その見方が間違っていなかったことを再確認した。

 低層棟と高層棟を巧に配し、一部を雁行設計とし通風・採光にも配慮していた。この住棟配置の結果、集合住宅では珍しい路地が現出することとなった。また、敷地のあちこちに既存のケヤキ、桜などの大木を残し、水辺も演出している。駐車場は地下化している。

 外観デザインも「同潤会江戸川アパートメント」と同様、グレード感のするもので、周囲の緑によく映えていた。

 物件を案内していただいた同社開発営業本部事業戦略室課長・深瀬潔氏は「地権者の方々にも満足して頂いている。どこにも負けない建物を創った。『江戸川』に次ぐ力作。17戸残っているが、これは残っているというよりは、完成してじっくり見てもらおうという『江戸川』と同じ方針によるもの」と語った。

 地権者はほとんど持ち出しがなかったというが、これは容積が200%取れたからだという。東京都などは、今後の建て替えに際しては容積を150%程度に抑えようとしているが、これではなかなか事業採算に乗らないのではとも深瀬氏は語った。

 マンションの建て替え事業には各社が力を入れているが、この物件の完成度はトップクラスで、他社に一歩も二歩もリードを奪ったといえそうだ。

  
水辺                            路地

 

(牧田 司記者 3月18日)

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