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分かりやすいサンフロンティア不の定性的情報開示

 不動産各社の第3四半期の業績が続々発表されており、厳しい市況をうかがわせている。そんな中、本日(2月6日)、サンフロンティア不動産の第3四半期業績の開示がなされた。市況悪化の中、引き続いて増収増益を維持しているものだった。

 記者は、業績数字よりも定性的情報開示に注目した。以前、当欄「対照的な2つのデベロッパーの定性的情報の開示」(1月17日)でも書いたが、定性的情報開示は、「財務諸表によって表示される数値情報だけでは読み取ることが困難な上場会社各社の経営実態について、上場会社自身がその分析・判断に基づいて説明を加え、その内容を文章情報(以下『定性的情報』という)として『決算短信』等に記載するよう要請しています。 … 定性的情報の開示の重要性は、極めて高いものと考えらます」(東証)としている。

 様々な数値情報と、この定性的情報をあわせ読むと、企業姿勢や哲学、方向性が読み取れる。しかし、多くの企業の定性的情報は文章が硬く分かりにくいものが多い。マイナス情報については語りたくない℃p勢がありありだ。その点、サンフロンティア不動産の文章は、若干硬いが、極めて分かりやすい。以下に引用しよう。

 「不動産業界においては、昨年9月30日施行の金融商品取引法及び上記サブプライムローン問題等の影響でバランスシートが痛んだ欧米系金融機関を中心に、融資審査基準の厳格化が一層顕著となり、一部の不動産ファンドにおいては、資金調達難から物件購入を手控えざるを得ない状況も散見されるなど、マーケット全般に不透明感が増してきております。

 また、投資適格性という観点から、遵法性に難のある物件に限らず、用途や地域、規模等、不動産に対する評価はより厳しくなる傾向にあります。不動産の評価基準が、収益還元法に基づく利回り最優先の傾向から、社会性に合致した実需不動産または投資商品として『真の価値』が求められる時代となってきております。

 このような状況のもと、当社グループでは、『環境共生・都市再生』を企業使命として、主に都市部の事業用不動産に特化した総合不動産サービスを展開しております。単なる改装に留まらず、建物の遵法性という観点からの創り込みに徹底して拘り抜き、ソフト、ハード両面での付加価値を創出することで、社会貢献そしてお客様満足に繋がるよう努めております。不動産業を『ものづくり』の現場と捉え、当四半期においてはこれまで以上に品質を重視した商品化に全社を挙げて注力してまいりました。

 以上の結果として、当第3四半期(平成19年4月1日〜平成19年12月31日)は、売上高27,665百万円(前年同期比49.8%増)、営業利益5,301百万円(同44.5%増)、経常利益4,937百万円(同46.7%増)、四半期純利益2,749百万円(同16.1%増)となりました」

 「(不動産再生事業)不動産マーケット全般では、引き続き活発な取引がなされているものの、これまで不動産価格の上昇を牽引してきた信託受益権を投資対象とするようなJ−REITや私募ファンドの取引には陰りが見られ、現物の不動産を投資対象とする取引が増加傾向を示しております。

 このような状況を背景として、当社リプランニング事業においては、直近でターゲットとして見込んでいた大手私募ファンド向け販売は伸び悩み、従来からの個人富裕層(資産管理会社を含む)や賃貸ビル事業会社等が主な販売先となりました。一方、私募ファンドからの仕入は引き続き安定的に推移しています。当四半期において合計7棟の販売(売上高 4,716百万円)が完了しましたが、いずれも個人富裕層あるいは事業法人が主体となっております」

 このように、現在の不動産マーケットがどのように動いているのか、具体的に説明している。引き続き個人富裕層が元気≠ネのも読み取れる。

 同業他社も、このような分かりやすいものにして欲しい。

 

(牧田 司記者 2月6日)

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