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1区画170u以上、景観美が最大の特徴

 「TOKYO DECORTE(トウキョウ デコルテ)」


「TOKYO DECORTE(トウキョウ デコルテ)」の街並み

 

コスモスイニシア・細田工務店 総区画550区画の大規模街区

 コスモスイニシアと細田工務店がそれぞれ近く分譲開始する戸建て団地「TOKYO DECORTE(トウキョウ デコルテ)」を見学した。

 同物件は、京王相模原線京王堀之内駅から街区入口まで徒歩10分、八王子市堀之内に立地する全550区画(2社で各275区画を販売予定)の大型団地。UR都市機構から土地を譲り受けて分譲するもの。街の名称は「 DECO=機能美、 ECO=環境、 CORTE=庭」から採用したもので、環境共生・環境創造型の街づくりを進める。6年計画で分譲する予定だ。

 主な特徴は、@各住戸には道路境界から0.5〜1bセットバックした「植栽帯(グリーンベルト)」を設置A最低敷地面積 170 平方b以上B国交省の「次世代省エネルギー基準」適合住宅C従来型の給湯暖房機システムよりも光熱費を 1 台当たり年間約3万円節約できる東京ガスのマイホーム発電システム「エコウィル」を採用Dセコムによる365日 1 日 2 回の街区内巡回警備のほか、街区内への主要な出入り口には複数ヵ所に防犯カメラを設置したタウンセキュリティを採用――など。

 どうして1区画当たり最低面積が170平方bなのかについては後述するとして、良好≠ネ住環境が担保されているのが最大の特徴だ。

 とくに記者が注目したのは外構・植栽計画だ。外構デザインを担当しているのは平山郁朗氏だ。平山氏は高幡不動の「鹿島高幡台」のデザインを担当したことで知られており、多摩のまちなみ建築デザイン大賞も受賞している。記者は昨年、平山氏がデザインを担当した素晴らしい外構のマンションを見学している。この団地も素晴らしい景観になりそうだ。

コスモスはデザイン 細田は基本性能に注力


コスモスイニシアのモデルハウス

 コスモスイニシアと細田工務店の戸建ての施工は細田工務店だが、工法、デザインなどが異なる。ここでは詳しく触れない。好みの問題もあるからだ。

 コスモスイニシアの商品企画・デザインは、一言で言えばマンションデベロッパーらしいマンションの良さを生かしたデザイン・プランが特徴だ。工法は2×4工法。

 細田工務店は、基本性能・居住性にこだわった商品企画が特徴。1階の天井高は2700ミリ、階段幅は全戸メーターモジュール、1620の浴室の採用などだ。工法は軸組工法。

 敷地面積が広い分、価格はほとんど6000万円以上で、7000万円以上も相当数ある。両社は事業期間として6年間ぐらいをかんがえているようだが、果たしてどうか。3年前、同じ多摩ニュータウン内で1戸当たり最低面積が170平方bの戸建て31戸を小田急不動産が分譲しているが、完売まで6カ月かかった。両社はその倍のペースで売らないといけない計算になる。


細田工務店のモデルハウス

「新住法」の面積要件を緩和すべき

 敷地面積が最低170平方bというのは、この街区が「新住宅市街地開発法」(新住法)によって開発された街区だからだ。多摩ニュータウンでは新住法に基づく用地は全て1区画当たり170平方b以上と定められている。新住法は2年前に事業完了しているが、現在もその精神を生かすため指導が行われているという。ちなみにマンションは1戸当たり91平方b以上という指導が行われることもある。

 記者は、新住法による街づくりは破綻≠オたと考えている。多摩ニュータウンなどの郊外大規模ニュータウンが様々な問題を抱え、その解決法が見出せないのはこの新住法による様々な規制に起因するともいえる。

 最低敷地面積や最低居住面積を定めるのは、いかにも行政がやりそうなことだが、ここには基本的に街はどうあるべきかといった思想がまるでない。面積を大きくすれば、よい街ができるというのは幻想だ。同じ広さの、同じ価格の住宅を大量に供給してきたからこそ、街は一挙に衰退したのではなかったか。

 頑迷な考えを改めない限り、多摩ニュータウンの宅地処分はまだまだ時間がかかりそうだ。東京都もUR都市機構も多摩ニュータウン内にそれぞれ100ヘクタール前後の未利用地を抱えているはずだ。

 厳しい規制は、その土地の価値を高めることもあるが、多摩ニュータウンはその逆に作用している。高く売れるものを規制によって低く抑えているとすれば、民間なら株主から訴えられかねない。

 

(牧田 司記者 2月5日)

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